レバノンの世界遺産「バールベック」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(1), (4)
登録年1984年

レバノン東部・ベッカー高原に残るバールベック遺跡は、かつてのフェニキア人の都市。ここはローマ時代に天空神ユピテル(ジュピター)などの神々が崇拝されていた聖域であり、巡礼者が多く集まる地でもありました。遺跡内には美しいローマ建築がいくつか残ります。

ここではバールベックがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、バールベックについて詳しくなること間違いなし!

目次

バールベックとは?

バールベック
画像素材:shutterstock

首都ベイルートから東へ約80km。バールベックは、標高約1150mのベッカー高原の中央部に築かれ、数々の神殿が並ぶ、ローマ時代でも有名な聖域の一つ。ここは紀元前2000年から人々が住んでいたとされ、レバノンを中心に通商で栄えたフェニキア人の都市が築かれました。バールベックは「ベッカー高原の主神」という意味で、交易で栄えたものの、紀元前1世紀にローマ帝国によって征服されます。

ここでは、天空神ユピテル(ジュピター)、愛と美の神ビーナス、酒の神バッカスといった神々が崇拝される聖域となり、帝国内でも最も人々が巡礼に集まる都市となりました。バッカス神殿は、2世紀後半から3世紀にかけて建造されたもので、祭壇や柱、天井などに美しい彫刻が見られます。

その後、4世紀になるとキリスト教が国教となり、神殿は築かれなくなると、7世紀以降は要塞に。16世紀にオスマン帝国が支配するようになった頃にはここは忘れさられた地となっていました。

ユピテル神殿

ユピテル神殿/バールベック
画像素材:shutterstock

紀元60年ころに建造されたとされ、遺跡内に残る神殿の中でも最大規模ではありましたが、現在はほぼ損壊しています。高さ20mの柱の保存状態が良く、アカンサスの葉をモチーフにした柱頭があるコリント式の列柱が綺麗に並び、これらはバールベックのシンボル的存在。基壇は54mで奥行きは90mと、アテネのパルテノン神殿よりも規模が大きいものであったとされています。

バールベックはどんな理由で世界遺産に登録されているの?

バールベック
画像素材:shutterstock

バールベックが評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
バールベックの遺跡は、フェニキア人の信仰とギリシャ・ローマの神々が融合して生まれた聖域で、ローマ時代の神殿建築の中でも傑作であったという点。

登録基準(iv)
遺跡内の神殿は保存状態が良く、地元の伝統を受け入れた、ローマ帝国の聖域でも傑出した例であり、これらはローマ帝国の繁栄を示す建築物群であったという点。

世界遺産マニアの結論と感想

バールベックは、ローマ時代に壮麗な神殿などが作られ、帝国の中でも最大規模の聖域となり、ローマ帝国の繁栄を示すものであったという点で評価されています。

バールベックの「バール」は、もともとはフェニキア人の神ハダドとされているもので、これはパルミラでは「ベル神殿」として崇められている「ベル」でもあります。しかし、旧約聖書ではバールは批判されていて、悪魔として有名なベルゼブブの「ベル」の由来ともなっていたという解釈も。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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