登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (4) |
登録年 | 1987年 |
ブラジルの首都ブラジリアは、1960年にブラジル中西部にある高原に築かれた計画都市。ここは都市計画家ルシオ・コスタと建築家オスカー・ニーマイヤーによって設計され、まるで飛行機のようなレイアウトの中にモダニズム建築が多く並ぶという革新的な都市デザインです。
ここでは、ブラジリアがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ブラジリアについて詳しくなること間違いなし!
ブラジリアとは?まるで飛行機のような形をした「都市計画」
ブラジル中西部にあるブラジル高原の未開の地に築かれた計画都市。ここは20世紀に築かれた近代都市の代表でもあります。
1950年代、ジュセリーノ・クビチェック・デ・オリヴェイラ大統領が経済的に遅れていたブラジル中西部に「新都ブラジリア計画」を立ち上げました。これにより1956〜1960年の間に建設され、なんと4年で完成。そして、1960年に当時の首都であったリオ・デ・ジャネイロからブラジリアへと遷都しました。
主な建築物の設計を担当したのは、近代建築の三大巨匠の一人、ル・コルビュジエの弟子にあたる、ブラジル人建築家オスカー・ニーマイヤー。そして、街のレイアウトは都市計画家ルシオ・コスタによって設計されたもの。これは「パイロット・プラン」と呼ばれる、十字型でまるで飛行機のような形になっています。
この飛行機の機頭あたりには大統領府や最高裁判所、連邦会議議事堂などが集まる「三権広場」があり、官公庁エリアとなっています。そして、胴体の部分は商業と文化地区になっていて、翼の部分に住宅地やホテルなどが並ぶといった構造に。街の中心部にある建築物は、1950〜1960年代の前衛的な建築物が多く、まるで未来都市のよう。
そして、居住区は、一つのブロック内に学校や商店、公園、教会が広がっていて、居住区内だけで生活ができるような構造になっているのが特徴。自動車道も立体交差になっているので、信号が少なく、車での移動が基本となっています。近年は、地下鉄も開通しているものの、公共交通はバスとタクシーが基本。
登録されている主な構成資産
ブラジリア大聖堂(カテドラル・メトロポリターナ)
街の中心部にあるローマ・カトリックの大聖堂。オスカー・ニーマイヤーの設計で1970年に完成したもの。16本のコンクリートの柱に囲まれたドーム状の建造物となっていて、これはキリストのいばらの冠を彷彿とさせます。大広間には4000人も収容できるというモダンな大聖堂。
連邦会議議事堂
三権広場にあるオスカー・ニーマイヤーの設計で、28階建てのツインタワーがシンボル。半球を伏せた形の建物が上院の議事堂で、半球を上に開いた形の建物が下院の議事堂というユニークな構造になっています。
大統領官邸(アルボラーダ宮殿)
これも三権広場にあり、オスカー・ニーマイヤーの設計で、モダニズム様式の建設物。建物は7000平方mと広大。地下室を含めた3つのフロアで構成されていて、クビチェック大統領以降すべての大統領が利用しているもの。
ブラジリアはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ブラジリアが評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
ブラジリアは、都市計画家ルシオ・コスタと建築家オスカー・ニーマイヤーによって設計された壮大なプロジェクトの一環で、都市全体が人類最高の芸術的な創造物であるという点。
登録基準(iv)
ブラジリアは、20世紀のユニークな都市計画であり、モダニズム建築の都市原理を表現したものであるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
都市まるごと世界遺産というのはよくありますが、計画都市そのものが評価されるというのはかなりレアではあります。そして、ここは合理的な造形理念に基づくモダニズム建築を最大限に施した壮大な作品であるというもポイント。
ちなみに、実際にブラジリアが住みやすいか?と疑問がありますが、あまりにも整然とした構造の都市のため、都市部なのに自動車がないとかなり不便というのが最大の弱点らしいです…。結局2001年に地下鉄が開通し、あまりにも便利なので延伸も予定しているとか。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。