イギリスの世界遺産「コーンウォールと西デヴォンの鉱山景観」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(2), (3), (4)
登録年2006年

イギリス南西部のコーンウォールと西デヴォンは、18世紀〜19世紀初頭にかけて銅やスズなどの採掘で発展した鉱業地帯でした。ここはやがて世界の3分の2の銅が採掘されるほどに繁栄。エンジンやドリルなど最先端の機械が使用され、英国の産業革命に貢献し、全世界の鉱業に影響を与えました。

ここでコーンウォールと西デヴォンの鉱山景観がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、コーンウォールと西デヴォンの鉱山景観について詳しくなること間違いなし!

目次

コーンウォールと西デヴォンの鉱山景観とは?

コーンウォールと西デヴォンの鉱山景観
画像素材:shutterstock

コーンウォール州・デヴォン州西部は、16世紀以降はスズの生産地となり、19世紀初頭には蒸気機関で革命が起こり、最新技術が導入。銅とスズは英国の産業と商業において需要が高まっていき、19世紀になると世界で供給される銅の3分の2がこの地で採掘されることになりました。しかし、1860年に銅が枯渇すると、スズが中心とはなったものの、次第に衰退。世界遺産としては10のエリアで構成され、鉱山や機関車、港、運河、鉄道、路面電車など、鉱業に関する遺構が各地に残っています。

ここでは発展した高圧蒸気エンジンや鉱業に適した機械など、革新的な技術がこの地で磨かれていきました。特に高圧蒸気エンジンは深くまで採掘できるというもので、この地で知識や技術を学んだ技師たちは、やがて南アフリカやオーストラリア、アメリカなどの鉱山において蒸気機関を使った採掘技術を伝えていきました。

コーンウォールと西デヴォンの鉱山景観はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

コーンウォールと西デヴォンの鉱山景観
画像素材:shutterstock

コーンウォールと西デヴォンの鉱山景観が評価されたのが、以下の点。

登録基準(ii)
18世紀〜19世紀初頭にかけて、この地域では工業化された鉱山の発展、高圧蒸気エンジンの利用、工業を中心とした社会の発展が見られ、景観も変化。農地や鉄道、運河、埠頭、港など、英国の工業化に大きな影響を与え、これは世界の工業化された鉱山においても同様であるという点。

登録基準(iii)
銅とスズの鉱山跡、そして都市と農村における変化はこの地域が銅、スズ、ヒ素など、世界の鉱業をリードしていた時代のコーンウォールと西デヴォンの鉱業の成功を示すものであるという点。

登録基準(iv)
コーンウォールと西デヴォンの鉱山景観は、特に景観の中で見られるエンジン室とビームエンジンなどは、この地域の産業革命時に活躍し、周辺の鉱山における風景の変化にも反映されているという点。

世界遺産マニアの結論と感想

コーンウォールと西デヴォンは、産業革命によって機械が導入されると、18世紀〜19世紀初頭にかけて鉱業において成功し、この地に残る遺構からは当時の景観の変化が見られ、ここで学んだ技師たちは世界へと鉱業の技術を伝えていったという点で評価されています。

ちなみに、英国王位の相続人である最年長の男子は「コーンウォール公」という爵位を得るので、必然的に王か女王の長男がコーンウォール公であることが多く、現在のウィリアム王子も父であるチャールズ3世が即位した瞬間にコーンウォール公となりました。あれ?それだと、プリンス・オブ・ウェールズ(ウェールズ公)と同じでは?と思うかもしれませんが、こちらは「王位の法定推定相続人である王子」であればOKなので、例えば、王か女王の家に、息子のいる長男と息子のいない次男がいた場合は、長男が死亡した場合は、プリンス・オブ・ウェールズは長男の息子で、コーンウォール公は次男となるというややこしい展開になります。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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