登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (2), (3) |
登録年 | 1999年 |
中国中西部にある大都市・重慶市の郊外には、5万以上の石仏が石窟に並ぶという大足石刻があります。ここは9〜13世紀にかけて建造され、多くは大乗仏教の石刻であるものの、道教や儒教の石刻が見られ、当時の人々の思想がよく分かるもの。
ここでは大足石刻がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、大足石刻について詳しくなること間違いなし!
大足石刻とは?
大足地区は、重慶市から北西へ約100km。ここは唐代末期の9世紀から南宋時代の13世紀にかけて、5つの山々に石刻が築かれました。北山、宝頂山、南山、石篆山、石門山には、石像が5万体以上刻まれ、石碑は合計で10万点以上も存在。特に宝頂山にある大仏湾と呼ばれるエリアにある、釈迦涅槃像は全長31mもあり、大足石刻を代表する石刻でもあります。
石刻の多くは大乗仏教をテーマにしているものの、道教や儒教の石刻が見られ、中国三大宗教の石刻が揃っているのが特徴。中国の石窟としては保存状態がよく、美術的価値も高いとうことで評価されています。これらは当時の仏教美術が分かるのと同時に、人々が信仰する宗教の時代による変化と発展が分かるもの。
大足石刻はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
大足石刻が評価されたのが、以下の点。
登録基準 (i)
大足石刻は、そのテーマの多様性と芸術的価値が高く、中国の石窟の中でも頂点に立つものであるということ。
登録基準 (ii)
大足石刻は、インドから渡来した大乗仏教と中国で発展した道教と儒教が見られる、非常にユニーク建造物で、当時の人々の精神的調和が見られるという点。
登録基準 (iii)
大足石刻は、中国王朝における宗教の折衷様式が見られる芸術作品であるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
深い山奥に築かれた大足石刻は、中国で発展した宗教とインド由来の仏教が入り交じるという当時の社会背景が見られる宗教的モニュメントで、その後の中国王朝の宗教的理念が表された石窟であるという点で評価されています。
中国に仏教が伝来したのは1世紀。それ以降、何度も迫害などを受けて独自の宗教観を作り出し、歴代皇帝が信者だったりするのですが、庶民には徐々に広まっていきました。とはいえ、我々のイメージでは「中国=仏教」ではあるものの、共産党による文化大革命の影響もあってか、現在の中国国内の仏教信者は約7%で、無宗教が約90%と、意外にも「仏教徒」と自称する人が少ないというのが現状。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。