登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (4) |
登録年 | 2015年 |
世界四大文明を生んだティグリス川の上流域に位置するディヤルバクルは、古代ローマ時代からオスマン朝時代まで栄えてきた都市です。都市を囲むように造られた城壁は約5.8kmの長さを誇ります。そして、周囲にはディヤルバクルの人々の生活の基盤であったヘヴセル庭園があり、こちらも含めて文化的景観として登録。
ここでは、ディヤルバクル城塞とヘヴセル庭園の文化的景観がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ディヤルバクル城塞とヘヴセル庭園について詳しくなること間違いなし!
ディヤルバクル城塞とヘヴセル庭園の文化的景観とは?
ディヤルバクルはトルコ南東部にあり、かつて「アミダ」と呼ばれた歴史深い都市。ここは「肥沃な三日月地帯」と呼ばれる、多くの文明が栄えた地域に含まれていて、新石器時代には既に人が定住していたと考えられています。そして、古代ローマ時代からオスマン朝時代まで、交易の中心地として栄えました。
城壁は古代ローマ時代に造られたもの。登録されているのでは城壁や城門だけで、旧市街のモスクなどは登録されていないのが特徴。そして、城壁の南東部に広がるヘヴセル庭園は「庭園」と呼ばれますが、現在は農地となっています。ティグリス川が作り出した肥沃な土地で、ヘヴセル庭園は農作物や水など、都市に住む人々の生活を支えてきたもの。このように都市と農地が一体化した風景が文化的景観として評価されたのです。
登録されている主な構成資産
ディヤルバクルの城壁
城壁は2種類あり、北東の内城と街全体を囲む外城に分かれます。古代ローマ時代に造られたもので、何度も修復されて現在に至っています。合計で約5.8kmの長さになり、壁に碑文が63件、82の塔が備わった巨大な城壁です。
ヘヴセル庭園
城壁の南東に広がる庭園。ディヤルバクルとティグリス川の間に位置する農地で、食料供給地だったり、桑畑になったりと時代ごとに作られていたものが異なってきました。庭園とはいうものの、約400ヘクタールもの農地が広がっているのでどちらかといえば「農地」といったほうが近いですね。
ディシュレ橋
ヘウゼル庭園の南に位置し、ティグリス川にかかる巨大な橋。建設は11世紀ころとされ、10のアーチを持ちます。
ディヤルバクル城塞とヘヴセル庭園の文化的景観はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ディヤルバクル城塞とヘヴセル庭園が評価されたのが、以下の点。
登録基準(iv)
ディヤルバクルの城壁とヘヴセル庭園は世界的にも珍しい景観で、ローマ時代から現在まで残るこの風景こそが歴史的に重要であるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
これは少し分かりづらい世界遺産なのですが、文化的景観ということで、城壁と庭園そのものが、ディヤルバクルという都市の重要性を物語っています。
ちなみに、城壁内には、ウルジャーミィという11世紀作られたモスクもあるのですが、これは登録されていません。あくまでも「都市と自然との関わりの歴史」が重視されているからであって、歴史が古いから素晴らしいというわけではないのです。…昨今の世界遺産にありがちな例ですね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。