マリの世界遺産「ジェンネ旧市街」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産、危機遺産(2016年〜)
登録基準(3), (4)
登録年1988年

ジェンネはマリの中央部にあるモプティ州の交易都市。3世紀ころから人が住み始め、15〜16世紀にはイスラム教布教の中心地となりました。 旧市街には、2000近くの泥で作られた伝統的な家屋が残っていて、木の断片「テロン」を組み込んだ独特の景観が特徴的です。

ここでは、ジェンネ旧市街がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ジェンネ旧市街について詳しくなること間違いなし!

目次

ジェンネ旧市街とは?

画像素材:shutterstock

ジェンネはマリの首都バマコの北東約570kmに位置するオアシス都市。サハラ砂漠以南のアフリカでも古い都市の1つで、旧市街にはアフリカのイスラム建築を代表する家屋が多く残ります。特に「大モスク」と呼ばれる泥で作られた大きなモスクは有名。

周囲に点在する、ジェンネ-ジェノ(かつてのジェンネの中心地)、ハンバルケトロ、トノンバ、カニアナといった遺跡も世界遺産に登録されています。ここからは紀元前3世紀ころの遺物なども発見され、イスラム化以前のジェンネと周囲の都市構造なども見られます。

現在のジェンネはホゾ族によって、紀元前3世紀ころに開かれた集落が起源となっており、8世紀頃には交易都市として近隣のトンブクトゥとともに発展しました。13世紀にジェンネはマリ帝国に併合され、15世紀にはソンガイ帝国に征服されました。14〜16世紀にはトンブクトゥとマリの内陸部を結ぶ町として大いに栄えたものの、16世紀の終わりにモロッコが支配すると徐々に衰退していきました。

経済規模は衰退しつつも、ジェンネはイスラム布教の中心地であり続けました。しかし、1905年にモプティ市が近くに建設されると、交易拠点はモプティに。

危機遺産

周囲は政情不安のため、2016年から危機遺産に登録されています。

登録されている主な構成遺産

大モスク

画像素材:shutterstock

ジェンネのシンボル的存在で、泥塗りで覆われたモスク。この地に建設されたのは13世紀とされ、当時の王がイスラムに改宗した際に、宮殿をモスクに改装したものが起源となっています。現在の建物は20世紀初期に再建されたもの。100本の泥の柱で支えられており、高さは20m、奥行き75mという広大なモスクとなっています。

ジェンネ旧市街はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

画像素材:shutterstock

ジェンネ旧市街が評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
ジェンネ-ジェノからは、多くの居住地や工芸品などが発掘され、これらはイスラム以前にこの地に文明があったということを証明しているという点。

登録基準(iv)
現在のジェンネは、モロッコ様式のファサードが付けられた独特の町並みが広がっており,特に大モスクなど、歴史を感じさせる建築物が残るということ。

世界遺産マニアの結論と感想

旧市街だけ評価されていると思われがちですが、実は周囲の考古学遺跡も登録されていて、イスラム化以前の都市構造などが分かるというのも評価に繋がっています。もちろん、旧市街の泥で作られた家々の伝統的なファサードや大モスクなども評価が高いですね。

ちなみに、大モスクの壁は泥で塗られているため、毎年市民が泥を塗り変えているので、今のような景観を保っているのです。ユネスコの「100年後には見られない可能性が一番高い世界遺産」に登録されているのですが、素材が泥であるために存続が不安になるというのも納得ですね。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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