ガボンの世界遺産「ロペ=オカンダの生態系と残存する文化的景観」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分複合遺産
登録基準(3), (4), (9), (10)
登録年2007年

ガボン中央部にあるロペ=オカンダは、熱帯雨林とサバンナという2つの異なる環境を持ち、多種多様な動植物が生息。ここはバントゥー系民族などの多くの民族にとって内陸と沿岸部の移動ルートであり、丘の上、洞窟、岩壁などには、1800もの岩絵が描かれています。

ここではロペ=オカンダの生態系と残存する文化的景観がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ロペ=オカンダについて詳しくなること間違いなし!

目次

ロペ=オカンダの生態系と残存する文化的景観とは?

ロペ=オカンダの生態系と残存する文化的景観
画像素材:Vincent.vaquin(Wikimedeia Commmons)

ガボン中央部に存在するロペ国立公園は、敷地内はほぼ熱帯雨林ですが、北部にはサバンナが広がっていて、多種多様な生態系が見られます。ここには中部アフリカの熱帯雨林の生物保護区の中でも、大型哺乳類の絶滅危惧種が多く生息するエリアで、1万5000年に渡る生物の進化が見られるというのも特徴。

ここは旧石器時代から新石器時代、鉄器時代を経て、現在は西アフリカから南アフリカまで幅広いエリアに暮らすバントゥー系民族やピグミー族などを含めて40万年以上にわたる定住の証拠を残す地で、ここは彼らが中央アフリカから南アフリカへと繋がる重要な移動ルートの一つであったことを示します。そして、オゴウェ川沿いにある一帯は、先史時代から丘の上、洞窟、岩壁などには、1800もの岩絵が点在。ここは動植物の初期の家畜化と森林資源の使用を示すという文化的景観が広がっています。

ロペ=オカンダの生態系と残存する文化的景観はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

ロペ=オカンダの生態系と残存する文化的景観
画像素材:Vincent.vaquin(Wikimedeia Commmons)

ロペ=オカンダが評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
オゴウェ川の中流域にある考古学遺跡は40万年に渡ってほぼ連続した歴史を示し、森林資源の利用、農業、動物の家畜化を含めて、ここから発展した文明が大西洋までに拡大したという証拠を残すという点。

登録基準(iv)
新石器時代と鉄器時代の遺跡と岩絵の遺物は、西アフリカからアフリカ中央部のコンゴ熱帯林の北部に広がるオゴウェ川渓谷に沿ってバントゥー系民族やその他の民族の移動ルートであったことを示し、サハラ砂漠以南のアフリカの発展が見られるもの。森林内にある鉄器時代の遺構は、ここで生活していた共同体の発展と、現在も住む人々との関連性を示すということ。

登録基準(ix)
熱帯雨林とサバンナという2つの異なる環境があり、氷河期の後の気候変化が見られる種の進化と生息地の適応を示し、現在でも多種多様な動物が暮らしています。これは人間と自然の長期的な相互作用の結果でもあるという点。

登録基準(x)
生息地の多様性と、熱帯雨林とサバンナの生態系が入り交じる環境は、植物の多様性が優れたエリアで、ガボンでも発見されたことがない新種40種を含む、1500種以上の植物が見られ、すべての調査が終わると3000種以上に達する可能性があると予測されているということ。

世界遺産マニアの結論と感想

ロペ=オカンダは、自然遺産としては、熱帯雨林とサバンナという2つの環境が見られることから、多種多様な動植物が暮らし、今でも新種の植物種が発見されるというほど。文化遺産としては、その自然環境の中に岩絵が多く残り、ここは中央アフリカらから南アフリカへの移動ルートであったことから40万年に渡って人々が定住していたことを示すという点で評価されています。

ちなみに、ガボンは今でもバントゥー系の民族が多く暮らし、フランスの植民地であったことから、ガボン料理はフランス料理の技法が採り入れられていて、大都市では専門店も多いとか。ただ肉料理はサルやヤマアラシを使った独特のものもあるので、ちょっとトラウマになるかも。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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