スペインの世界遺産「グラナダのアルハンブラ、ヘネラリーフェ、アルバイシン」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(1), (3), (4)
登録年1984年

スペイン南部グラナダは、イベリア半島最後のイスラム王朝・ナスル朝の都であった場所。丘の上にそびえ立つアルハンブラ宮殿とヘネラリーフェは、かつてこの地を治めていた王族が住んだ美しい宮殿です。アルベイシンはグラナダ市内で最も古いエリア。伝統的なアンダルシアの建築様式が残るこの街では、スペインにおけるイスラム建築が今でも見られます。

ここでは、グラナダのアルハンブラ、ヘネラリーフェ、アルバイシンがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、グラナダについて詳しくなること間違いなし!

目次

グラナダのアルハンブラ、ヘネラリーフェ、アルバイシンとは?

アルハンブラ宮殿
画像素材:shutterstock

グラナダはスペイン南部のアンダルシア州グラナダ県の県都で、かつてはナスル朝の首都であった場所。ナスル朝とは、13〜15世紀にアンダルシア地方で栄えたイスラム王朝で別名グラナダ王国。ナスル朝は、ムハンマド1世によって建国され、8世紀から始まったレコンキスタ(キリスト教国家による再征服)によってイベリア半島南部のイスラム勢力が衰えていく中、唯一最後まで残った王朝です。イスラムの高度な技術力により街には美しい建築物が多く建造されました。

当時はイベリア半島の大部分を支配していたカスティーリャ王国の支配を受ける形で国は続き、ナスル朝の黄金時代を築いたユースフ1世とその息子のムハンマド5世によって、アルハンブラ宮殿は現在のように美しい姿にされたのです。しかし、15世紀になると一旦停止していたレコンキスタが再開。1479年にスペイン王国が成立すると、1492年にグラナダが陥落。その後、スペインの支配下に入ります。

登録されている主な構成遺産

アルハンブラ宮殿

アルハンブラ宮殿
画像素材:shutterstock

グラナダの南東に位置する丘の上に建造された宮殿で、「赤い城壁」という意味。もともとは9世紀末に城塞として建造されたもので、13世紀にナスル朝の創始者ムハンマド1世によって宮殿が建造されました。現在の姿になるのは、ナスル朝の黄金時代を築いたユースフ1世とその息子のムハンマド5世の時代で、歴代の王によって改築されていったもの。

アルハンブラ宮殿
画像素材:shutterstock

王が政務を行ったコマレス宮を中心に、王のプライベートな宮殿には、大理石円柱が並ぶ美しい中庭があります。宮殿はムカルナスと呼ばれる鍾乳石飾りの天井装飾や、アラベスク文様と呼ばれるアラビア文字や植物模様の文様など、イスラム教の世界観が大いに取り入れられているのが特徴。

ヘネラリーフェ離宮

ヘネラリーフェ離宮
画像素材:shutterstock

アルハンブラ宮殿の北にある離宮。14世紀に王族の避暑地として建設されました。「アセキアの中庭」は近隣のネバダ山脈の雪解け水と高低差を利用し、アセキア(水路)を作り出したもの。美しい花々と噴水を織り交ぜた中庭は、アンダルシアのイスラム建築の傑作でもあります。

アルバイシン

アルバイシン
画像素材:shutterstock

アルハンブラ宮殿の西に位置し、丘の上に広がる市街地。ここはグラナダで最も古いエリアで、イスラムの都市らしく、迷路のような構造となっています。アルハンブラのイスラム都市としては非常に保存状態がよく、白亜の邸宅に石畳の道、さらにモスクやハンマーム(浴場)などが今でも点在。

グラナダのアルハンブラ、ヘネラリーフェ、アルバイシンはどんな理由で世界遺産に登録されているの?

アルハンブラ宮殿
画像素材:shutterstock

グラナダが評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
イベリア半島のイスラムの技術の総決算であるアルハンブラ宮殿とヘネラリーフェ離宮は、現代であっても美的価値が高いという点。

登録基準(iii)
グラナダの建築物は、東西の芸術が混ざり合って形成されたという証拠であり、ここで生まれた文化や科学知識はヨーロッパに影響を与えてきたということ。

登録基準(iv)
アルハンブラ宮殿とヘネラリーフェ離宮は、中世のイスラム世界の宮殿をほぼそのまま残し、アルバイシンではイベリア半島におけるイスラム教徒が住んだ街の様子がほとんど変わらずに保存されているという点。

世界遺産マニアの結論と感想

世界遺産としては、2つの宮殿と旧市街が登録されていますが、どちらもアンダルシア地方で発達した独自のイスラム文化の形跡がほぼそのまま残っているという点で評価されています。そして、グラナダで培われた文化や科学はやがてヨーロッパにも溶け込んでいったというのもポイント。

ちなみに、アンダルシアといえば、フラメンコですが、これはイスラム教徒やヒターノ(スペインにおけるロマ)の音楽が合わさって形成されたと考えられています。これもグラナダの陥落に関わっていて、スペイン国内から追放されたイスラム教徒がヒターノとして潜伏して生まれたという説も。毎年夏に開催される「グラナダ国際音楽舞踊祭」ではフラメンコが上演されることでも有名です。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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