スウェーデンの世界遺産「ヴァールベリのグリメトン無線局」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(2), (4)
登録年2004年

スウェーデン南部にあるヴァールベリのグリメトン無線局は、初期の大西洋を横断する無線通信施設のシンボル的存在。ここは建築家カール・オーケルブラッドが設計した新古典主義様式の建造物で、エンジニアのヘンリック・クルーガーが127mものアンテナ鉄塔を建造し、これは当時スウェーデンで最も高い建造物でした。今でも初代アレクサンダーソンの送信機が残り、非常に状態が良く、毎年送信テストが行われるほど。

ここではヴァールベリのグリメトン無線局がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、グリメトン無線局について詳しくなること間違いなし!

目次

ヴァールベリのグリメトン無線局とは?

ヴァールベリのグリメトン無線局
画像素材:shutterstock

ハッランド県ヴァールベリ市の郊外に位置するグリメトンには超長波送信局があり、これは1922〜1924年に建造された、大西洋を横断する初期の無線通信の記念碑的存在で、非常に状態が良いもの。第一次世界大戦中、スウェーデンは海底の有線通信のケーブルしか通信手段を持たなかったため、戦後のスウェーデンでは他の先進国同様に無線の開発に力を入れ、エルンスト・アンダーソンが開発したアレクサンダーソンの送信機を持つ無線局を建造。ここはアメリカのニューヨーク州のロングアイランドを無線でつなぐことを目的とした施設でした。

敷地内には建築家カール・オーケルブラッドが建物を設計した、新古典主義様式の建造物が並び、その中でもエンジニアのヘンリック・クルーガーが127mものアンテナ鉄塔を6つも建造。これは当時スウェーデンで最も高い建造物でした。ここはアンテナ鉄塔を含め、短波送信機や職員のための住宅街などが世界遺産に登録。

今では稼働していないのですが、いつでも利用できる状態であり、初代アレクサンダーソンの送信機は非常に状態が良く、今でも毎年送信テストが行われるほど。これらは通信手段が電子化する前の時代に活躍した送信局の優れた例で、無線通信の新時代の幕明け的存在でした。

ヴァールベリのグリメトン無線局はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

ヴァールベリのグリメトン無線局
画像素材:shutterstock

グリメトン無線局が評価されたのが、以下の点。

登録基準(ii)
グリメトン無線局は、第一次世界大戦後の通信技術が発展した時代の優れた施設であったという点。

登録基準(iv)
グリメトン無線局は、1920年代初期までの技術を表し、約30年に渡って発展が見られ、非常に良く保存された通信施設であるということ。

世界遺産マニアの結論と感想

ここは第一次世界大戦中の海底ケーブルの有線通信から、その後の無線通信に移行する時期に建造された無線局で、第二次世界大戦の頃まで発展し、今でも送信機が利用できるほどに非常によく保存されているという点で評価されています。

ちなみに、産業遺産としては鉱山や工場、鉄道などが多く世界遺産に登録されていますが、通信施設で世界遺産に登録されたのは世界でもグリメトン無線局だけ。それだけ革新的な施設だったのですね。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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