登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (3),(4) |
登録年 | 1999年 |
フランス南西部にあるサン=テミリオン地域は、古代ローマから続くブドウの産地で、ここはサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路でもあり、巡礼者のためのワインの生産で繁栄しました。そして、11世紀以降は教会や修道院、宿泊施設が建設され、巨大岩を削って建造したモノリス教会などがあることでも有名です。
ここではサン=テミリオン地域がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、サン=テミリオン地域について詳しくなること間違いなし!
サン=テミリオン地域とは?
フランス南西部にあるヌーヴェル=アキテーヌ地域圏は、ワインの生産地として有名。サン=テミリオンは首府であるボルドーの北東へ約35kmの距離にあり、周囲は温暖な気候であることから、水はけもよく、ブドウの栽培に適した地で、古代ローマからワイン造りが行われてきました。特に紀元前1世紀にローマ帝国の初代皇帝であるアウグストゥスによってブドウ畑が設立されたというほど。
サン=テミリオンはスペインへと続くサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路の中継地でもあり、ここのワインは巡礼者に人気であったことからワイン生産が盛んになりました。12世紀にアキテーヌ地方はイングランド領となり、ヘンリー2世と息子のジョン欠地王はここを特別管理区域にして、ブドウとワインの保護をするようになりました。世界遺産としては、この時に定められた8つの区域がほぼ登録。
11世紀になると、サン=テミリオンは巡礼ととして多くの教会や修道院、宿泊施設が建設。中世とルネサンスには城が築かれ、さらにはシャトーも建造されました。そして、ぶどう園には労働者のための邸宅、ワインの貯蔵庫なども点在し、それらを含めて文化的景観として世界遺産に登録。
モノリス教会
8世紀に聖エミリオンという聖人がこの地に隠遁したとされ、それがサン=テミリオンの名前の由来となりました。そして、町の中心に位置する教会は、彼の弟子たちによって石灰岩の一枚岩(モノリス)をくり抜いて作られたため、その名が付けられています。
サン=テミリオン地域はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
サン=テミリオン地域が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
サン=テミリオン地域、古代から現在でも続けられているブドウ畑の歴史的な景観の優れた例であるということ。
登録基準(iv)
サン=テミリオン地域の歴史的な管理区画は、ワイン生産のための優れたブドウ畑であるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
サン=テミリオンの街と周囲のブドウ畑が登録されているという分かりづらいものではありますが、これは12世紀に遡る管理区画が今も残っていて、現在でも使用されているワイン生産のためのブドウ畑であるという点で評価されています。
ちなみに、アキテーヌ地方は代表的な港湾都市ボルドーを玄関口にして、この地方のワインをイギリスへ多く輸出していたのです。ここのワインは格付けが10年に一回更新されるという厳しいことで有名ですが、ずっと最上級の格付けがされているシャトーもあることで有名。このことから世界でも名だたる「ボルドーワイン」というブランドになったのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。