スペインの世界遺産「コルドバ歴史地区」とは?メスキータを含めて世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(1),(2),(3),(4)
登録年1984年

スペイン南西部にあるコルドバは、かつてムーア人(イスラム教徒)によって支配され、300のモスクがあった世界有数のイスラム都市でした。やがてレコンキスタによってキリスト教勢力がこの町を取り戻すとメスキータ(大モスク)が大聖堂になったりと、イスラム教、ユダヤ教、キリスト教の文化が交差する都市に。

ここでは、コルドバ歴史地区がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、コルドバについて詳しくなること間違いなし!

目次

コルドバ歴史地区とは?

コルドバ歴史地区/コルドバ歴史地区
画像素材:shutterstock

コルドバはスペイン南西部、アンダルシア州コルドバ県の県都で、グアダルキビール川沿いに設立された町。紀元前2世紀にローマ人によって設立され、ローマ帝国の属州ヒスパーニア・バエティカの首都でした。その後、北方のゲルマン系の王朝であった西ゴート王国によって支配を受けます。

8世紀になるとイスラム教徒によって征服され、後ウマイヤ朝の首都となると、300のモスクに壮麗な宮殿が並ぶ、バクダートやダマスカスに匹敵する世界有数のイスラム都市へと成長。しかし、レコンキスタ(国土回復運動)によって、13世紀にカスティーリャ王のフェルナンド3世が征服。この時にメスキータが大聖堂に変わり、町はキリスト教の建造物へと改築されました。

ユダヤ人街/コルドバ歴史地区
画像素材:shutterstock

こうしてコルドバは、イスラム教、ユダヤ教、キリスト教の文化が交差する都市に。町はイスラム時代の区画が今でも残っており、中庭を周りに建造された共同住宅などはこの時代の名残。

登録されている主な構成遺産

メスキータ

メスキータ/コルドバ歴史地区
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「メスキータ」とは一般的にはモスクを示しますが、コルドバにおいては街の中心部にある大モスクを指します。もともとは8世紀に後ウマイヤ朝の開祖、アブド・アッラフマーン1世によって建造され、10世紀には拡張工事が行われると当時は世界で3番目に大きなモスクになりました。

しかし、13世紀にフェルナンド3世に町が征服されると、ここはカトリックの大聖堂へと改装されます。それでも、かつての身を清める庭の池や、朱と白の縞模様のアーチが無数にある「円柱の森」など、モスク時代の名残が現在も残存。16世紀になり、スペイン王のカルロス1世がゴシック様式とルネサンス様式を合わせた教会堂が作られると、イスラム教建築とキリスト教建築が混在する不思議な建築物になりました。

アルカサル(キリスト教徒の王たちのアルカサル)

アルカサル(キリスト教徒の王たちのアルカサル)/コルドバ歴史地区
画像素材:shutterstock

グアダルキビール川の側にある、後ウマイヤ朝時代の王宮だった場所。ここには庭園や世界最大規模の図書館があったりと、華やかな宮殿でした。レコンキスタによってキリスト教勢力が支配するようになると、ここに要塞が築かれ、やがて異端審問の場となりました。刑務所となった時期もありますが、1950年代からスペイン政府によって国家のモニュメントに。

カラオーラの塔 

カラオーラの塔 /コルドバ歴史地区
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もともとはグアダルキビール川にはローマ時代から橋がかけられていて、12世紀のイスラム王朝であったムワッヒド朝時代に、橋の防衛を目的として建てられた塔。橋の両脇に2つの円柱の塔があったのですが、14世紀にレコンキスタが完了すると、その円柱の塔を繋ぐように塔が増築されました。

ユダヤ人街

ユダヤ人街/コルドバ歴史地区
画像素材:shutterstock

メスキータの北側に広がる旧市街エリア。ここは10〜15世紀にユダヤ人が住んでいた地区で、不規則な区画が広がっていて、14世紀に建造されたシナゴーグも見られます。

コルドバ歴史地区はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

コルドバ歴史地区
画像素材:shutterstock

コルドバが評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
コルドバのメスキータはそのスケールの大きさは他の都市で見られるものではなく、抜群に美しい建築物であるということ。

登録基準(ii)
メスキータは8世紀からスペインや北アフリカのイスラム美術に影響を与え、19世紀に流行する「ネオモレスク様式」の発展にも繋がったという点。

登録基準(iii)
コルドバの歴史地区は、カリフを称した後ウマイヤ朝時代の大都市で、300ものモスクと無数の宮殿が作られたほどに繁栄した跡が残るということ。

登録基準(iv)
コルドバの建造物は、イスラム教における宗教建築の傑出した例であるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

コルドバはかつてモスクや宮殿が多く立ち並ぶ、バクダッドやダマスカスのようなイスラム世界を代表する大都市であったということが現在でも見られるという点で評価。さらにそれを象徴するメスキータは、ヨーロッパや北アフリカのイスラム美術に影響を与えたほどに美しい建物であるというのもポイント。

ちなみに、コルドバは科学技術が栄えた都市としても有名で、「クリスタル・ガラス」は実はコルドバ生まれ。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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