チュニジアの世界遺産「聖都ケルアン」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(1),(2),(3),(5),(6)
登録年1988年

チュニジアの中部にあるケルアンは、670年に建造され、アグラブ朝(800〜909年)の首都であった都市。ここは12世紀以降、チュニスに首都機能が移された後でも聖地であり続け、斑岩の柱と大理石などが使用されている大モスクを中心に旧市街の保存状態は良好です。

ここでは聖都ケルアンがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ケルアンについて詳しくなること間違いなし!

目次

聖都ケルアンとは?

聖都ケルアン
画像素材:shutterstock

チュニジアの中心部にあり、平原に位置するけるケルアンは、マグレブ(北西アフリカ諸国があるエリア)でも最古のイスラム教の聖地の一つ。ここは670年にダマスカスから遠征として訪れたウマイヤ朝の将軍ウクバが当時ここを支配していたビザンツ軍を撃破し、ここに駐屯基地を築いたことが始まり。

9世紀になるとアグラブ朝の首都となったため、イフリーキヤ(現在のチュニジアとアルジェリアの東部)において中心地となり、交易で繁栄しました。しかし、11世紀になるとエジプトのファーティマ朝の攻撃を受け衰退。

大モスク/聖都ケルアン
画像素材:shutterstock

メディナ(旧市街)は狭く曲がりくねった道で構成され、3kmにも及ぶ城壁で囲まれています。そして、メディナの北東部に位置する「大モスク」のはマグレブのモスクのモデルとなるほどの傑作。大モスクの隣には、ムハンマドの友人であり、専用の美容師でもあったとされるアブ・ザマ・エル・ベラウィの遺骨を葬った「シディ・サハブ霊廟」があることで、ここは聖地となりました。

他にも「3つのドアのモスク」などの歴史的建造物も点在しています。9世紀のアグラブ朝時代の水槽などの遺構も残り、これは町に水を供給するために建造されたもの。

聖都ケルアンはどんな理由で世界遺産に登録されているの?

大モスク/聖都ケルアン
画像素材:shutterstock

ケルアンが評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
聖都ケルアンにある9世紀に再建された大モスクは、イスラム教における重要な建築物の一つであるだけでなく、その後の建築物のモデルともなり、保存状態も良いもの。17もの身廊がある礼拝室があり、柱廊で囲まれた広大な中庭があります。建築計画は中断されましたが、正方形の3階建てのミナレットなどは今も残っているという点。

登録基準(ii)
聖都ケルアンの大モスクは、マグレブのモスクのモデルとしていて、その装飾のモチーフは独特。そして、9世紀に建造された「3つのドアのモスク」は彫刻が施されたファサードを持ち、最古級のモスクの一つでもあるということ。

登録基準(iii)
聖都ケルアンは、大モスクや「3つのドアのモスク」など、イフリキーヤにおける初期イスラム文化の痕跡であるという点。

登録基準(v)
聖都ケルアンの旧市街は、城壁と門によって保護されていて、曲がりくねった道や中庭を持つ家、外壁には小さな窓やアーチ型の出入り口はほとんどないというのが特徴で、社会の変化を受けつつも、伝統的な建築が保護されているということ。

登録基準(vi)
聖都ケルアンは、イスラム教の聖地の一つで、大モスクの隣には、マグレブ初の礼拝所であると同時に、ムハンマドの友人の一人、アブ・ザマ・エル・ベラウィの霊廟があり、ケルアンへの7回の巡礼がメッカへの1回の巡礼に代わるというほどであったという点。

世界遺産マニアの結論と感想

ケルアンはイスラム帝国初期に征服されたという事情もあり、ここはマグリブ初の本格的なモスクや礼拝所が並び、初期イスラム文化が発達し、旧市街には伝統的な建築物が残るという点で評価されています。そして、ここはマグリブにおけるイスラムの聖地で、メッカに次ぐ巡礼地であるというのもポイント。

ちなみに、「ケルアン」という名称は「キャラバン(キャンプや休憩場所という意味)」からルーツになっていて、これはもともとアラブの将軍ウクバがここを駐屯地として利用したことから、この名が付けられ、それが開発され続けて都市になったという稀有な例。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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