ネパールの世界遺産「カトマンズの渓谷」とは?地震による影響を含めて世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(3),(4),(6)
登録年1979年

ネパールの首都カトマンズがある渓谷には、ヒマラヤ山脈の麓にある盆地に歴史的建造物が多く集まるエリア。首都のカトマンズ市、ラリトプル市(パタン)、バクタプル市の3つの行政区にあるヒンドゥー教寺院、王宮、広場など、芸術性の高い建造物が並んでいます。

ここではカトマンズの渓谷がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、カトマンズの渓谷について詳しくなること間違なし!

目次

カトマンズの渓谷とは?

画像素材:shutterstock

カトマンズの標高は約1300m。ここは盆地となっていて、バグマティ川とビシュヌマティ川に抱かれるように形成された地形。首都があるのはカトマンズ市ではありますが、広域の「カトマンズ」となると、首都のカトマンズ市、ラリトプル市(パタン)、バクタプル市の3つの行政区を含めて呼ばれます。世界遺産としては、この3つの古都を含めて登録。

もともとは一つの町だったのに、なぜこんなにややこしいことになったのかというと、13世紀に成立したマッラ朝がバクタプルを中心にカトマンズの盆地を支配すると、15世紀にカトマンズ・マッラ朝が独立。さらに17世紀にカトマンズ・マッラ朝からパタン・マッラ朝が独立すると、カトマンズ周辺だけで3つの王国があるという状態に。

マッラ朝時代に、現在もカトマンズに住むネワール族の文化が発展し、3つの王国は競い合うように、ヒンドゥー教寺院、王宮、広場などを建造。よって、今でもカトマンズには「ダルバール広場」という美しい建造物が並ぶ広場が3つ存在するようになったのです。1768年に、ネパール中央部にあったゴルカの王プリトビ・ナラヤン・シャハによって3つとも征服され、彼はカトマンズをまとめて「首都」としました。

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危機遺産(危機にさらされている世界遺産)

ここは地盤が脆弱なため、昔から何度も地震を経験してきました。昨今ではほぼ12年に一度は大地震が発生するという場所です。よって、カトマンズ渓谷に残る建造物は古くても15世紀のもので、ほとんどが再建されたもの。

さらに人口増加のため、都市化が進み、景観は変わりつつあり、文化財の破壊が問題となり、2003〜2007年には危機遺産に指定されました。そして2015年にはM7.8の大地震が発生したため、現在も修復が進んでいます。

登録されている主な構成遺産

カトマンズのダルバール広場

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カトマンズ市の中心部に位置する広場で、ここには旧王宮や20棟以上のヒンドゥー教寺院、貴族の館など、職人が築いたネワール建築が集まるエリア。有名なのは、女神クマリの化身である少女が住む「クマリの館」。クマリを見ると幸せが訪れるということで知られ、2階の窓からたまにクマリが顔を出すとことも。

パタンのダルバール広場

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ラリトプル市の中心部にある広場で、こちらもダルバール広場と呼ばれています。ここもマッラ王朝時代の王宮に面していて、ネワール建築のヒンドゥー教寺院も広場沿いに点在。最も有名なのは17世紀建造のクリシュナ寺院で、21の尖塔を持つ見事な建築で知られます。

バクタプルのダルバール広場

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バクタプルは、カトマンズから東へ約13kmに位置する町。ここの中心部もダルバール広場と呼ばれていて、17世紀後半〜18世紀前半ブーパティーンドラ・マッラによって築かれた、「55の窓」と呼ばれる広大な宮殿が面しています。

スワヤンブナート

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カトマンズ市から西へ3kmほどの丘の上に建つ、ネパール仏教の寺院。5世紀には既にこの地で寺院があったことから、ネパール最古の仏教寺院とも言われます。上部にブッダアイをもつ高さ15mの黄金の仏塔がシンボル。特に境内から市内を見渡せるので、人気の観光地でもあります。

パシュパティナート

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カトマンズ市の北東部にあり、シヴァ神を祀る、ネパール最大のヒンドゥー教寺院。1500年以上前から巡礼地だったとされる場所で、敷地内には火葬場があり、灰はガンジス川の支流であるバグマティ川に流されていきます。遺灰をこの川に流すのがネパールのヒンドゥー教徒の憧れでもあり、毎日のように火葬が行われてます(ちなみに、入場料を払えば旅行者でも見学可)。

ボダナート

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カトマンズ市の北東に位置するネパール最大のチベット仏教のストゥーパ(仏塔)。ここには5世紀には既に仏塔があったとされます。基壇は三層になっていて、その上に高さ27mのドームがあり、合計の高さは36m。周囲は、土産物屋が並び、観光客とチベット仏教の信者が集まる賑やかな場所です。

カトマンズの渓谷はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

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カトマンズの渓谷が評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
カトマンズの渓谷に残る歴史建造物は、ネワール族の文化が反映され、ヒンドゥー教と仏教、土着の宗教などが融合し、独特な文化が作られているということ。

登録基準(iv)
カトマンズには、16〜18世紀のマッラ時代に築かれた美しい宮殿や寺院、仏塔などが残り、これらはこの地方独特の建築様式であるという点。

登録基準(vi)
カトマンズでは、ヒンドゥー教、仏教、土着の宗教などが融合して、それらが建築物や芸術、儀式、祭りなどに見られるということ。

世界遺産マニアの結論と感想

カトマンズの渓谷は、ネワール族によって築かれた美しい建造物を含めて、ヒンドゥー教や仏教などの文化を取り入れたユニークなものであるという点で評価。そして、さまざまな宗教が入り混じり、それが芸術や祭りなどにも見られるというのもポイント。

ちなみに、カトマンズといえば、クマリに会いに来る人が圧倒的多数だと思いますが、クマリとして現役なのはぜいぜい数年~10年程度。クマリはある程度お姉さんになると、霊力を失うとされ、実家に戻って普通の女性として暮らすようになります。ちなみに、引退後は政府から恩給を受けるという高待遇ではあるものの、少女期に建物に閉じ込めるという伝統が人権団体から非難されていて、現代のクマリはなかなか生きづらそうです…。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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