インドの世界遺産「カンチェンゾンガ国立公園」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分複合遺産
登録基準(3), (6), (7), (10)
登録年2016年

インド北東部にあるヒマラヤ山脈の中心に位置するカンチェンゾンガ公園は、世界で3番目の標高を持つカンチェンジュンガ山を含み、平野や湖、氷河などの豊かな自然が残っています。ここは先住民の神話など残り、シッキム州の先住民たちの崇拝の対象であり、この地にはチベット仏教の思想に統合された文化的景観が広がっているのが特徴。

ここではカンチェンゾンガ国立公園がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、カンチェンゾンガ国立公園について詳しくなること間違いなし!

目次

カンチェンゾンガ国立公園とは?

カンチェンゾンガ国立公園
画像素材:shutterstock

ネパールとブータンに囲まれたシッキム州に位置するカンチェンゾンガ国立公園は、世界で3番目の標高を持つカンチェンジュンガ山(8586m)を持ち、深い谷や雪に覆われた高山に囲まれ、長さ26kmにも及ぶ氷河や湖などが点在する世界有数の高山地帯でもあります。ここはヒマラヤ山脈の中でも最も狭いエリア。南北に険しい地形が広がっていて、固有種や絶滅危惧種が生息するほどの生物多様性のホットスポットでもあるということが特徴。

原生林に覆われた険しい山々の先に広がる世界最高峰の山々という景観は古くから先住民の神話や物語などと結び付けられ、シッキムの先住民たちに崇拝されてきました。ここは仏教徒とこの地に住むレプチャ人によって神聖な景観で、シッキムに住む人々にとって異なる宗教伝統と民族間の中でもアイデンティティと一体感へと繋がるものもあります。これらはヒマラヤ地域で発展した土着の思想を仏教の宇宙観と同化したもの。しかし、この土地特有の伝統的な植物は消滅の危機に陥っているという現状もあります。

カンチェンゾンガ国立公園はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

カンチェンゾンガ国立公園
画像素材:shutterstock

カンチェンゾンガ国立公園が評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
カンチェンゾンガ山と周囲の山々は、シッキムの宗教と文化的伝統の中核となる聖地であり、仏教とそれ以前の土着の宗教にとって共存していたということを示すもの。ここは8世紀から仏教が広められ、仏教の経典などにも登場するほどに中心的な土地であり、今でもチベット仏教の儀式と文化が残っているという点。

登録基準(vi)
カンチェンゾンガ国立公園は、自然環境の中に存在する多民族による文化の中心地であり、さまざまな混合宗教の伝統が生まれ、発展してきました。シッキムの先住民によって、チベット仏教の聖地として崇められ、レプチャ人やチベットから亡命してきたブティヤ人によって儀式として維持され続け、カンチェンゾンガ山は山岳信仰が残り、これらは社会や宗教など、今でもシッキムの人々のアイデンティティともなっているということ。

登録基準(vii)
カンチェンゾンガ国立公園は、地球上で3番目に高いカンチェンゾンガ山を代表に6000m級の山々が20も並ぶという景観は絵のように美しく、原生林に覆われた山々と険しい山々が並ぶ景観は世界中の登山家、写真家などを魅了してきました。そして、アジアでも最大級のゼム氷河を含む18の氷河があり、73もの氷河湖も存在するという点。

登録基準(x)
カンチェンゾンガ国立公園は、シッキム州の約25%を占め、最高レベルの植物と哺乳類の多様性が見られ、インドの鳥類の約半分、国内の花の3分の1が生息し、固有種や希少種、絶滅危惧種が見られます。特にヒョウやウンピョウ、ユキヒョウ、ジャングルキャット、ゴールデンキャット、ベンガルヤマネコなどの大型哺乳類の生息地であり、他にもチベットオオカミ、ジャコウネコ、レッサーパンダ、ウシ科のゴーラル、ヒマラヤタール、スマトラカモシカ、ジャコウジカ2種、ナキウサギ4種など、多様な生物が暮らす地であるということ。

世界遺産マニアの結論と感想

カンチェンゾンガ国立公園は、世界でも3番目に高いカンチェンゾンガ山を中心に険しい山々と緑に囲まれた山々が融合する景観が広がり、固有種や絶滅危惧種が存在する生物多様性が見られる地。そして、ここは古くから神話に結び付けられ、仏教が伝来してもその崇拝の対象は変わらず、その伝統を吸収して、今でもこの地の社会や宗教などに残っているという点で評価されています。

ちなみに、ナキウサギは警戒音を出してよく鳴くことから「ナキウサギ」と名付けられましたが、ハムスターのようなが外観を持つことから我々がよく知るウサギとはまた違った独特なウサギなのです。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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