中国の世界遺産「ラサのポタラ宮の歴史的遺跡群」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(1), (4), (6)
登録年1994年

チベット高原の中央部に位置する都市ラサ。市内にあるマルポリ(赤い山)には、ダライ・ラマが住むポタラ宮があります。他にもチベット仏教の総本山・ジョカン寺と、ダライ・ラマの夏の宮殿であるノルブリンカも合わせて登録されており、今でもチベット仏教の聖地として多くの人が訪れています。

ここでは、ラサのポタラ宮の歴史的遺跡群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ラサのポタラ宮について詳しくなること間違いなし!

目次

ラサのポタラ宮の歴史的遺跡群とは?

ポタラ宮殿/ラサのポタラ宮の歴史的遺跡群
画像素材:shutterstock

チベット自治区の中央部に位置するラサ市は、標高3650mに位置する高原都市。7世紀にチベット全域を統一した吐蕃の王、ソンツェン・ガンポが開いた都で、この地にポタラ宮の原型となる宮殿を築きました。そして、彼はインドと中国の仏教を取り入れていき、中国より嫁いできた文成公主によってジョカン寺が作られ、ここは現在のチベット仏教の総本山でもあります。吐蕃は8世紀にはティソン・デツェン王が仏教を国教と定め、唐の都である長安まで攻め入るほどに勢力を広げましたが、9世紀になると国は崩壊。

その後、統一王朝は成立せず、17世紀にようやくダライ・ラマ5世がチベットを統一。そして、ソンツェン・ガンポが建造した宮殿を元にポタラ宮殿を建設。ここには歴代のダライ・ラマが住むようになり、1936年に現在の姿になりました。しかし、1951年にチベットは中国に併合されると、1959年にダライ・ラマ14世はインドに亡命し、チベット亡命政府を樹立。ポタラ宮には、現在ダライ・ラマはおらず、政治的に不安定な状態が続いています。

登録されている主な構成資産

ポタラ宮殿

ポタラ宮殿/ラサのポタラ宮の歴史的遺跡群
画像素材:shutterstock

ラサ市内にあるマルポリ(赤い山)の上に築かれた、面接約13万平方kmの広大な宮殿です。高さは約110mで13層もの構造。ここはダライ・ラマの冬の宮殿で、「白宮」と「紅宮」の2つに分けられます。

「白宮」は、政治と宗教の儀式が行われていた場所。最上層にはダライ・ラマの寝室があり、下層は謁見の場となっています。寝室には豪華な調度品があり、ラサ市内を一望できるテラスも設置。「紅宮」は、歴代のダライ・ラマが眠る霊廟がある聖域とされています。ここには多くの仏教関連の壁画や仏像などが置かれており、聖俗両権を持つダライ・ラマが住む宮殿ならではの空間です。

ジョカン寺

ジョカン寺/ラサのポタラ宮の歴史的遺跡群
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旧市街に位置する、7世紀に設立したチベット仏教の寺院。現在見られるのは11世紀初頭に再建されたもので、建造物は中国やインド、ネパール、それぞれの建築様式から影響されたもの。本尊は、吐蕃のソンツェン・ガンポの妻、文成公主が中国から持参したとされる釈迦牟尼。正門前では、五体投地で祈る巡礼者が訪れることでも知られます。

ノルブリンカ

ノルブリンカ/ラサのポタラ宮の歴史的遺跡群
画像素材:shutterstock

ポタラ宮殿から西へ約3km。ノルブリンカはダライ・ラマ7世によって18世紀に建てられたダライ・ラマの夏の宮殿です。「宝の園」を意味するノルブリンカの庭園は、樹木と花々で構成。現在のメインの建造物は、1954年にダライ・ラマ14世が建造した「タクテン・ポタン」で、他にもかつてのダライ・ラマが築いた離宮が点在し、敷地内には図書館や動物園もあります。

ラサのポタラ宮の歴史的遺跡群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

ポタラ宮殿/ラサのポタラ宮の歴史的遺跡群
画像素材:shutterstock

ラサのポタラ宮が評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
ポタラ宮殿、ジョカン寺、ノルブリンカは伝統的なチベット建築の優れた例であるということ。

登録基準(iv)
チベット建築の頂点であるポタラ宮殿は、現代に残る寺院建築の中でも傑作であるという点。

登録基準(vi)
ポタラ宮殿は、政治的なエリアである「白宮」と宗教的なエリアである「紅宮」の2つに分けられ、それぞれの面で権威を感じられるような構造になっているということ。

世界遺産マニアの結論と感想

ダライ・ラマが住むポタラ宮殿は現代に残るチベットの建築物の中でも最高傑作であることと、政治と儀式の場が同時に存在するという珍しい構造が評価。そして、ジョカン寺やノルブリンカもチベット建築の優れたものであるというのもポイント。

ちなみに、ポタラ宮殿は、ここに住んでいたダライ・ラマ14世もいくつ部屋があるか分からないほどに部屋数が多く、なんと2000もあるとされます。まるでラビリンスのような構造というのもまた興味深いですね!

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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