登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (4) |
登録年 | 2012年 |
ベルギー南部のワロン地方には、19世紀初頭〜20世紀後半まで稼働した石炭鉱山があり、これらはヨーロッパで最も古く、産業革命のシンボルとして4つの鉱山が世界遺産に登録。ここは建築家ブリューノ・ルナールが設計を担当した鉱山都市グラン・オルニュや、ヨーロッパ最古の炭鉱の一つ・ボワ=デュ=リュックなど、かつて繁栄した産業遺産として現在も保存されています。
ここではワロン地方の主要な鉱山遺跡群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ワロン地方の4つの炭鉱について詳しくなること間違いなし!
ワロン地方の主要な鉱山遺跡群とは?
ワロン地方は19〜20世紀にかけて何百もの鉱山が作られ、ヨーロッパの初期の産業化を支えました。これらは鉱山と都市が合わさった産業都市であり、今でも鉱山に関する施設や労働者の邸宅、当時の都市計画などが見られます。世界遺産としては、ワロン地域のエノー州の3つの鉱山とリエージュ州の1つの鉱山、合計で4つの鉱山が登録され、全長約170kmの中で幅3〜15kmの範囲を採掘する中で形成されました。
グラン・オルニュ
エノー州のフランスとの国境の近くに位置する炭鉱都市。1810年代に建造された、炭鉱の施設を中心に450人も暮らす労働者のための都市が作られました。設計を担当したのは、建築家ブリューノ・ルナールで、ヨーロッパの産業革命時でも早期に築かれた理想都市でもありました。
ボワ=デュ=リュック
17世紀末に作られたヨーロッパの炭鉱の中でも最も古いものの一つ。しかし、現存する建造物は19世紀前半に整備されたもので、ここには労働者の住宅や病院などが置かれてました。
ワロン地方の主要な鉱山遺跡群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ワロン地方の4つの炭鉱が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
ワロン地方の4つの炭鉱は、ヨーロッパにおいて最大規模の初期炭鉱群であり、産業革命の技術、社会、都市の発展が見られ、ここにはベルギーやヨーロッパだけでなく、アフリカや他のエリアから労働者が集まり、異文化交流が発生した場所でもあったという点。
登録基準(iv)
ワロン地方の4つの炭鉱は、ヨーロッパ大陸における産業革命のさまざま段階を示す傑出した例であり、特に構成資産の一つボア・デュ・カジエの事故(1956年に発生した262名の死者が出た事故)の後、これらは産業・技術の要素、都市・建築の選択、社会的価値について重要な証拠を示しているということ。
世界遺産マニアの結論と感想
ワロン地方の4つの炭鉱は、ヨーロッパでも最古級の炭鉱群であり、20世紀後半まで使用され続けたことから、産業・技術、都市や建築、社会的価値など、さまざまな段階を示し、世界各地から移民労働者が訪れたことから異文化交流も生まれたという点で評価されています。
ちなみに、ボワ=デュ=リュックはラ・ルヴィエールという工業都市の郊外。近くには世界遺産の「サントル運河の4つのリフト」があり、小さな地方都市にもかかわらず、2つの産業遺産が世界遺産に登録されているという、なかなかすごいですね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。