登録区分 | 複合遺産 |
登録基準 | (1), (2), (4), (5), (7) |
登録年 | 1988年 |
ギリシャ北西部にあるメテオラは奇岩とその上に建築された修道院が集まる場所。これらは11世紀以降にギリシャ正教の修道士によって建造され、かつては24もの修道院があったとされます。修道院内にある16世紀のクレタ様式のフレスコ画などは、ビザンツ帝国崩壊後の芸術の発展が見られるものとして価値が高いもの。
ここでは、メテオラがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、メテオラについて詳しくなること間違いなし!
メテオラとは?その意味とは?
メテオラとは「中空に浮く」という意味
ギリシャ北西部のテッサリア地方にあるメテオラは、標高2000mを越える山々が並ぶピンドス山脈から流れるピニオス川によって、石灰岩が削られ、固い堆積岩だけが残り、まるで柱のような奇岩がいくつも続くという独特の景観が見られます。ギリシャ語でメテオラは「中空に浮く」という意味で、まさに空に浮かんでいるかのような奇岩や修道院が点在。
どうやって修道院を築いていったの?
この険しい地形には住み着く人も少なかったのですが、11世紀にはギリシャ正教の修道士が移住。彼らはここで瞑想と神の祈りに没頭していました。14世紀にメテオラよりも北に位置するセルビア王国がテッサリア地方に勢力を拡大。修道士たちは、自らの防衛という目的もありましたが、天に近い奇岩の上に修道院を建造するようになりました。彼らはそれぞれの奇岩の頂上へ向かって通路を作り、建築素材を麓から運びつつ、長い期間をかけて築いていったのです。
最盛期には24もの修道院が築かれ、16世紀には「クレタ派」と呼ばれるイコン作家によって多くのフレスコ画が描かれました。14世紀に建造された、メタモルフォシス(大メテオロン)修道院を中心に現在でも修道院は活動を続けており、6つの修道院が世界遺産に登録されています。
登録されている主な構成資産
メタモルフォシス(大メテオロン)修道院
14世紀中頃に建造された、メテオラでも最も古く、最大規模の修道院。ギリシャ正教の聖地であるアトスから移住した修道士アタナシオスによって建造されたもの。メタモルフォシスは「救世主の変容」という意味で、1490年からメテオラの全修道院を統括する修道院となりました。
ヴァルラアム修道院
メタモルフォシス修道院のすぐそばにある修道院で、1541年建造。14世紀に活躍した隠修士ヴァルラアムの名に由来するもので、6つの修道院のうち2番目に大きな修道院。
アギオス・ステファノス修道院
14世紀後半に建造された女子修道院。もともとは12世紀から隠修士が暮らしていた場所で、18世紀に再建されたもの。食堂は現在、博物館として公開しています。
ルサヌ修道院
16世紀中ころに建造されたとされる修道院。現在は女子修道院として活動しています。484mの高さの巨岩の上に建造され、修道院からの眺めはよく、周辺を一望することが可能。
アギオス・ニコラオス・アナパフサス修道院
14世紀後半に小さな巨岩の上に建造された修道院。16世紀に改築されたもので、「クレタ派」と呼ばれるセオファニスのフレスコ画が残っています。
アギア・トリアダ修道院
14〜15世紀に建造されたもので、アギア・トリアダとは「三位一体」を意味しています。高さ565mの奇岩の上に築かれたもので、まるで宙に浮かんだかのような修道院。ここでは現在も修道士が暮らしています。
メテオラはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
メテオラが評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
メテオラの修道院は、人類の創造的資質を示す遺産であるということ。
登録基準(ii)
メテオラは、各地の修道士が集まる場所であり、ここに点在する建築物やキリスト教関連の芸術作品は文化の交流を示すという点。
登録基準(iv)
それぞれの修道院は14〜16世紀にまでに建造され、修道院建築の発展が見られるということ。
登録基準(v)
険しいメテオラに隠修士が住み着き、奇岩という自然環境を大いに利用して修道院を建造しているという点。
登録基準(vii)
侵食によって大地が削られて形成された奇岩群は、他では見られない景観を持つということ。
世界遺産マニアの結論と感想
メテオラは奇岩の上に築かれた修道院ということで、文化遺産と自然遺産の両方の点で評価されています。そして、この厳しい環境の中で修道士が暮らし、奇岩に修道院を作り出すという建築技術、そして、美しいフレスコ画なども含めて評価。
ちなみに、奇岩の上に築かれた修道院になぜこれだけの物が運べるかというと…人間は階段などを使って上り下りするのですが、重いものは滑車などを利用して運んでいるため、生活が続けられているのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。