リビアの世界遺産「ガダーミスの旧市街」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産 危機遺産2016年〜
登録基準(5)
登録年1986年

リビア西部にあるガダーミスは、サハラ砂漠の交易で栄えた都市で、石灰を塗った伝統的な家屋が今でも残ります。シンプルな外観ではありますが、内観はマグレブ地方(アフリカ北西部)の美術から影響を受けた石膏のレリーフや装飾などが見られるもの。旧市街は現在ほとんど利用しておらず、ほぼ廃墟となっているため保存状態は良好です

ここではガダーミスの旧市街がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ガダーミスについて詳しくなること間違いなし!

目次

ガダーミスの旧市街とは?

画像素材:shutterstock

ガダーミスはリビア領のナールート県にあり、チュニジアとアルジェリアの国境近くに位置するサハラ砂漠のオアシス都市。ここはアイン・アル・ファラスと呼ばれる泉の周りに建造され、旧市街はこの水を利用して多くの人口を維持し、かつてはヤシが並ぶ豊かな都市でした。

ここは「砂漠の真珠」と呼ばれ、サハラ砂漠を横断するキャラバン隊に利用されてきました。紀元前1000年代の後半から中継地として利用され、紀元前1世紀ころのローマ時代からビザンツ帝国、イスラム勢力、オスマン帝国の支配を受け、第二次世界大戦後はリビア領となるもの、独自の文化を維持してきました。

画像素材:shutterstock

旧市街の周辺は、ローマ時代の防衛施設や霊廟などの遺跡もあり、当時の繁栄が見られ、日干しレンガの建築と伝統的な手工芸などが遺構として今でも残されています。ほとんどの邸宅は2階立ててで、上階はテラスを持つ女性が暮らすスペースで、下階は公共スペースとなっていて、男性と子供たちが過ごした場所でもありました。外観は石灰を塗られていて、内部はマグレブ地方美術から影響を受けた石膏のレリーフや装飾などが今でも残ります。

1980年代に水が枯渇したため、現在の住民は近くにある新市街に暮らしますが、夏の間は避暑のために旧市街で暮らすことも。

危機遺産(危機にさらされている遺産)

2016年にリビアの内紛による建造物の損壊の可能性から、他のリビアの世界遺産同様に危機遺産に登録。

ガダーミスの旧市街はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

画像素材:shutterstock

ガダーミスが評価されたのが、以下の点。

登録基準(v)
ガダーミスは、過酷な砂漠な環境の中で暮らすための過ごれた居住地で、少なくとも2000年以上も砂漠の交易都市として重要な地位にあり、アフリカと地中海の文化の交差点として、独自の建築と伝統が残されてきました。邸宅は砂嵐や熱気から保護されるような造りで、男女別の空間やプライバシー、各家庭間の交流を可能とした生活空間を作り出すためのデザインが見られ、この都市の独特な生活習慣が発展してきたという点。

世界遺産マニアの結論と感想

ガダーミスは、古くから砂漠の交易都市として栄え、ここはアフリカと地中海の文化の交差点でもあり、独自の建築と伝統が遺構として残され、この都市の独特な生活習慣が見られるという点で評価されています。

ちなみに、現在もガダーミスに住むトゥアレグ族はイスラム教を信仰するものの、イスラムにしては珍しく、女性は顔を露出して、逆に男性が顔を隠すという習慣があります。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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