登録区分(暫定リストに記載) | 文化遺産 |
---|---|
登録基準(暫定リストに記載) | (3), (6) |
申請年(暫定リストに記載) | 2020年 |
カメルーン北部にあるマンダラ山脈付近には「ディギッドビィ」と呼ばれる石造りの建造物が残る丘の上の遺跡が点在しています。これはかつての文明の存在を示し、農業景観の中で人々が暮らしていたという証拠でもあるもの。
ここではマンダラ山脈のディギッドビィの文化的景観がなぜ世界遺産候補なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ディギッドビィの文化的景観について詳しくなること間違なし!
マンダラ山脈のディギッドビィの文化的景観とは?
ナイジェリアの国境の近く、カメルーン北部に位置するマンダラ山脈。この地にはディギッドビィと呼ばれる、16もの石造りの建造物が並ぶ遺構が点在しています。ディギッドビィ(Diy-Gid-Biy)とは、現在この地で暮らすマファ族の言葉で、Diyは目、Gidは頂上、Biyは強力であることから「頂上の首長の目」を示すもの。これらは石壁で囲まれた範囲の中に、円錐や円柱の屋根を持つ建築物が並び、集落の跡地と考えられ、現在は放棄されて遺跡となっています。
遺跡は21世紀から調査され、DGB-1の遺構は15世紀に放棄された可能性があり、これはマファ族がこの地で暮らす前の時代なので、また別の民族によって使用されたとされています。ここは要塞や酋長の霊廟、高級住宅、倉庫、聖域など、さまざまな仮説があるものの、まだハッキリとしたことはわかっていません。
マンダラ山脈のディギッドビィの文化的景観はどんな理由で世界遺産に登録される予定なの?
ディギッドビィの文化的景観が評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
ディギッドビィの遺構は、建築素材から12〜15世紀に遡るとされ、石積みによる古代文明の存在を示し、これは現在ではほぼ失われつつある中央アフリカにおける伝統が見られるという点。
登録基準(vi)
ディギッドビィの文化的景観は、何世紀にも渡って継続されてきたという伝統文化の証拠であり、現在はマファ族によって丘の上に開発された農業景観に統合されていて、過酷な環境の中で暮らすための工夫が見られるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
マンダラ山脈のディギッドビィは、石造りの遺構でかつてこの地で繁栄した文明の存在を示し、現在もマファ族による農業の景観に含まれていて、ここで暮らす人々の知恵が見られるという点で評価されています。
ちなみに、もともと2006年に暫定リストに登録された時は、お隣のカメルーンの「スクルの文化的景観」の拡大登録として世界遺産候補になったのですが、スクルは遺構の中でも人々が暮らしているという点で異なるということで、現在は別の遺産となっています。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。