韓国の世界遺産候補「盤亀川の岩面彫刻」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分(暫定リストに記載)文化遺産
登録基準(暫定リストに記載)(3)
申請年(暫定リストに記載)2010年

韓国南東部にある盤亀川(バングチョン)沿いには「蔚州大谷里(テゴクリ)盤亀台岩刻画」と「蔚州川前里刻石」呼ばれる2箇所の岩面彫刻(ペトログリフ)があります。蔚州大谷里盤亀台岩刻画は韓国の先史時代に制作された岩面彫刻の中では最も古いもので、鯨をモチーフにしたものなど、当時の人々の暮らしがよく分かる貴重な資料。

ここでは盤亀川の岩面彫刻がなぜ世界遺産候補なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、盤亀川の岩面彫刻がについて詳しくなること間違なし!

目次

盤亀川の岩面彫刻とは?

盤亀川の岩面彫刻
画像素材:shutterstock

釜山広域市から北へ約70kmの位置にある蔚山(ウルサン)広域市。市内に流れる盤亀川沿いには、1971年に発見された「盤亀台岩刻画」と1970年発見の「川前里刻石」があり、これらを合わせて「盤亀川岩刻画(パングチョンアムガックァ)」と呼ばれます。岩面彫刻とは、石や岩に刻まれた絵・記号などを示し、おもに儀式を行ったり、記念碑として利用されたもの。

「盤亀台」とは「亀に似た高くて平たい岩」という意味。盤亀台岩刻画は、高さ約4m、幅約10mの岩盤に鯨を狩猟する姿が刻まれていて、新石器時代から青銅器時代にかけての人々の暮らしが見られるという点で貴重。川前里刻石は時代が少し下り、中期青銅器時代から三国時代に刻まれた岩面彫刻で、幾何学模様に鹿、半人半獣などが描かれていて、6世紀にこの地を治めていた新羅の時代に描かれたものは、衣服を着た人々なども描かれているため、当時の資料としては重要なものとなっています。

盤亀川の岩面彫刻はどんな理由で世界遺産に登録される予定なの?

盤亀川の岩面彫刻が評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
ここは先史時代から歴史時代まで、数千に渡る人類の歴史が刻まれた地であり、さまざまなモチーフが見られます。他の韓国で発見された岩面彫刻と同様に「盤亀台岩刻画」と「川前里刻石」は、東アジアの岩面彫刻の文化に属し、鯨のモチーフは優れていて、これらは他の太平洋沿岸の遺構でも見られるものの、鯨を食料とし、さらに人々が崇拝してた様子が見られるというのは、韓国独自のものであるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

盤亀川沿いに岩面彫刻は、先史時代から歴史時代まで何千年にも渡って岩絵が描かれていて、そこには食料から信仰などが分かる貴重な資料であるという点で評価されています。

ちなみに、近くで最近発見された碑文では、韓国の青少年修養団体の花郎(ファラン)にまつわるものが刻まれていて、これは王室に関連するだけでなく、メンバーの名前や訓練の様子が分かるというもの。とはいえ、韓国ドラマで登場する「花郎」はイケメンの戦士集団で描かれているので、そんなイメージを持つと思いますが、実はあれ、後世の解釈の違いであり、本来は外観が美しい男子ばかり集めた集団ではないのです…(もちろん、中にはイケメンもいたとは思いますが)。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1200以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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