登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (2), (4) |
登録年 | 2009年 |
イギリス・ウェールズの北東にあるポントカサステ水路橋は、世界で最も長い水路橋です。これは19世紀に土木技師のトーマス・テルフォードによって建造されたもので、それまでの土木技術と金属加工技術を融合させた傑作。この水路橋は世界中の多くの土木建築に影響を与えました。
ここではポントカサステ水路橋と運河がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ポントカサステ水路橋と運河について詳しくなること間違いなし!
ポントカサステ水路橋と運河とは?
ポントカサステ水路橋は、ウェールズの北東、レクサム郡にある運河に建造された水路橋で、イングランド西部のチェシャーからウェールズのデンビーシャーまで延びるランゴレン運河の一部。当時のイングランドは狭い運河が貨物輸送の中心で、ナロウボートと呼ばれる細長い船が多く利用されていた時代。しかし、起伏が多い地形においては運河を設置しづらいというのが悩みでした。
そんな中、1805年に土木技師のトーマス・テルフォードが高さ307mもの水路橋を建造することに成功します。これは橋の上に水路部分に鍛鉄を使用することによって、軽くて丈夫なアーチ橋を建造することに成功したもの。そして、起伏の多いエリアは、閘門(こうもん)と呼ばれる船を昇降させるための装置が必須だったのですが、ここではそれを省き、橋の上にそのまま水が流れ出るという革新的な建造物だったのです。
ポントカサステ水路橋と運河はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ポントカサステ水路橋と運河が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
ポントカサステ水路橋は、革新的な金属製のアーチ橋で土木技師のトーマス・テルフォードが世界中から名声を集めた傑作であるということ。
登録基準(ii)
18世紀後半以降の運河建設の中でも、ポントカサステ水路橋の設計と技術は大いに影響を与え、起伏の多いエリアの運河の開発を発展させたという点。
登録基準(iv)
ポントカサステ水道橋は大型の貨物輸送を目的に開発され、産業革命を促進するための新しい技術であり、代表的な建設物であったということ。
世界遺産マニアの結論と感想
トーマス・テルフォードが手掛けた土木事業で傑作であるポントカサステ水路橋は、起伏の多いエリアの運河建設を可能としたという点で評価されています。そして、その後の運河建設に影響を与え、産業革命をより促進させていったというのもポイント。
ちなみに、水路橋は現役で利用されています。橋の上は水路と船曳き道の2つで構成され、水路側は欄干がないので水路のへりが見られないという構造になっていて、通る時はスリリングたっぷり。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。