登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (3) |
登録年 | 2010年 |
メキシコ南西部にあるトラコルラ渓谷の北側には、先史時代の洞窟と岩穴式住居が多く点在しています。その中でもギラ・ナキツの洞窟では、1万年前のウリ科の種が発見され、アメリカ大陸最古の植物栽培の跡地が見られ、トウモコロシの穂軸も発見。ここは遊牧狩猟採集から農耕低住民へと移行していったことを示し、メソアメリカ文明のルーツ的存在でもあります。
ここではオアハカ中央盆地にあるヤグルとミトラの先史時代の洞窟群がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ヤグルとミトラの洞窟群について詳しくなること間違いなし!
オアハカ中央盆地にあるヤグルとミトラの先史時代の洞窟群とは?
メキシコ南部のオアハカ州にあり、亜熱帯地域中部に広がるトラコルラ渓谷。ここにはトラコルラ市、ディアス・オルダス市、ミトラ市にまたがって、先史時代の洞窟や岩穴式住居などを含む文化的景観が広がっています。これらは遊牧狩猟採集から農耕社会と移行していったことを示すもの。
先史時代の遺跡としては、「ギラ・ナキツ洞窟」があり、これは狩猟採集民によって利用された岩陰洞窟で、ここには1万年前のウリ科の植物の種が発見されたことで有名で、北米大陸における最古の植物栽培の跡地でもあります。他にも紀元前4200万年前のテオシンテ(トウモコロシの祖先の一つ)の穂軸も発見されていて、これも北米大陸最古のトウモロコシ栽培跡。他にも「クエバ・ブランカ(白い洞窟)」は紀元前1万〜紀元前8000年の洞窟遺跡で、小動物の骨や石器が発掘されています。
「ヤグル遺跡」は、山の上に築かれたサポテカ文明(紀元前500〜紀元750年)の都市遺跡で、オアハカ盆地でも最大の球技場が見られるもの。ヤグルの南東にある「カバリト・ブランコ」は建造物が残り、洞窟には岩絵が描かれていて、白い子馬のモチーフがあります。
オアハカ中央盆地にあるヤグルとミトラの先史時代の洞窟群はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ヤグルとミトラの洞窟が評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
ギラ・ナキツ洞窟で発見された、ウリ科だけでなく、かぼちゃや豆などの植物の栽培跡は、クエバ・ブランカやジェオ・シ(テオシンテの花粉や石器が出土した遺跡)などの考古学遺跡などとも関連していて、これはメソアメリカで狩猟採集から定住化までを示す一連の発展を示すものであるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
オアハカの中央盆地に点在する先史時代の洞窟群には、ウリ科やトウモロコシなど、現在の中央アメリカの植物栽培のルーツ的存在であり、この地で発展した文明にも関連しているという点で評価されています。
ちなみに「ヤグルとミトラの洞窟」というのは、ヤグル洞窟とミトラ市に点在する洞窟という意味で、ミトラ市にはサポテカ文明の考古遺跡がありますが、これは世界遺産としては登録されていません。しかし、現在は「ミトラ、考古学的記念建造物群の地域」という名前の暫定リストには記載されているので、いつかは世界遺産になるかもしれませんね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。