登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (iv) |
登録年 | 2021年 |
中国南東部・福建省の南部にある泉州。ここは宋と元の時代(10〜14世紀)には、中国の玄関口であり、国際都市でもありました。今でも街には中国のイスラム教施設を含め、さまざまな宗教施設が見られ、さらに巨大な灯台や橋など、海上貿易で繁栄した様子を現在に残しています。
ここでは泉州 : 宋・元時代の中国における世界のエンポリウムがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、泉州について詳しくなること間違いなし!
泉州 : 宋・元時代の中国における世界のエンポリウムとは?
福建省南部にある泉州市には、宋と元の時代(10〜14世紀)に東アジアと東南アジアの貿易ネットワークの中心地であった場所。そもそも「エンポリアム」は「商業の中心地」という意味もあるように、ここは中国の玄関口であり、国際都市でもありました。泉州は、川と海が交わる位置であり、水陸のネットワークにも適して地でもあるのが特徴。
かつてこの町は「ザイトン」と呼ばれていて、13世紀に記録されたマルコ・ポーロの『東方見聞録』にも記載がある都市。そして、14世紀にモロッコ人旅行者のイブン・バットゥータもこの町を訪れ、彼はここを「世界最大の港町」と記しました。
多くのアラブ商人が訪れたのように、中国式のイスラム教施設を含め、さまざまな宗教の建築物も見られます。さらに巨大な灯台や橋など、海上貿易で繁栄した様子は現在でも残存。しかし、14世紀に明の時代になると、交易の中心地はさらに南方の厦門へと移行していったため、交易地としては衰退してしまいます。
登録されている主な構成資産
六勝塔
泉州湾に面した半島に位置する六勝塔。12世紀に建造された八角形型の5階立ての塔で、高さは36mもあり、泉州湾に入ってくるすべての商船のランドマークとなっていました。
清浄寺
かつてはアラビア商人が多く訪れたために、礼拝所としてモスクが築かれました。ここは11世紀に建造されたもので、アラビア語の碑文なども残っています。
洛陽橋と安平橋
洛陽橋は11世紀、安平橋は12世紀と、宋の時代に建造されたもので、今でも綺麗に保存されているのが特徴。特に安平橋は中国で現存する最も古い石製のビーム橋です。
泉州 : 宋・元時代の中国における世界のエンポリウムはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
泉州が評価されたのが、以下の点。
登録基準(iv)
泉州は、10〜14世紀のアジアの海上交易で繁栄。町に残る建築物は、東アジアと東南アジアの経済と文化の発展に貢献し、まさに世界のエンポリアム(商業の中心)であったということ。
世界遺産マニアの結論と感想
泉州は、宋と元の時代は、中国屈指の貿易港で、ここはヨーロッパやアフリカの旅行者の記録されるほどに栄えた都市でした。町に残る建造物は、かつて「世界のエンポリアム」として繁栄した姿を現在に残すという点で評価されています。
エンポリアムというと、タイの高級デパートとショッピングモールが合わさった巨大な施設で有名ですが、これも「商業施設」という意味合いで呼ばれるものであり、どちらかというと商業施設で使用されることが多い気もしますね…。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。