登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1),(2),(6) |
登録年 | 1991年 |
フランス北東部に位置するランスのノートルダム大聖堂は、5世紀にフランク王国クローヴィスが戴冠して以来、歴代の王の戴冠式が行われてきました。現在の大聖堂は13世紀に建造されたゴシック様式の傑作で、クローヴィスに洗礼を授けたとされる聖レミギウスの墓があるサン=旧大修道院、大司教の邸宅であったトー宮殿も合わせて登録。
ここではランスのノートル=ダム大聖堂、サン=レミ旧大修道院及びトー宮殿がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ランスについて詳しくなること間違いなし!
ランスのノートル=ダム大聖堂、サン=レミ旧大修道院及びトー宮殿とは?
ランスはフランス北東部のマルヌ県の都市で、首都パリから北東へ約130km。街の起源ははローマ時代に遡るほどに古い街で、5世紀にはメロヴィング朝フランク王国の領土に。フランク王国のクローヴィス1世がここで戴冠して以来歴代の王が戴冠式が行われてたことにより、フランス王家の聖なる都市とされていました。
ノートル=ダム大聖堂
街の中心部に位置していて、現在見られる大聖堂は13世紀に建造され、14世紀に完成したゴシック様式の傑作でもあります。メロヴィング朝のクローヴィスが洗礼を受けた場所だけに、ここは25人もの王が戴冠した場所。建築と装飾彫刻の融合が見られ、ドイツなどの大聖堂建築に影響を与えています。
西側正面に2300もの彫像が築かれ、聖母マリアの物語が描かれた「微笑みの天使」のレリーフで有名。ステンドグラスでは、マルク・シャガールの作品が1974年に寄贈されています。
サン=レミ旧大修道院
大聖堂から南東へ約1kmのの距離位にある、11世紀ころに建造されたバシリカ式の教会堂。かつてクローヴィスに洗礼を授けたとされる聖レミギウスの墓があることで有名です。ここはフランス北部最大のロマネスク様式の建築物ではりますが、内陣は12〜13世紀に建造されたもの。
トー宮殿
大聖堂の隣にある、トー宮殿はかつてのランス大司教が住んでいた邸宅。ここは15世紀ころに築かれ、17世紀に改修されています。トーはギリシャ文字の「T(トウ)」を意味していて、T字型の建造物であったことから由来するもの。戴冠式の際は王が滞在した場所ともなり、現在は博物館となっています。
ランスのノートル=ダム大聖堂、サン=レミ旧大修道院及びトー宮殿はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ランスが評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
ランスのノートルダム大聖堂は、13世紀に新たな建築技術と彫刻の装飾を組み合わせたゴシック様式の傑作であるという点。
登録基準(ii)
ランスで確立した建築と彫刻の技術は、その後のヨーロッパの建築物に強い影響を与えたということ。
登録基準(vi)
ランスのノートル=ダム大聖堂、サン=レミ旧大修道院、トー宮殿はかつて王政だった時代のフランスの歴史、特に戴冠式が行われた場所でもあり、フランス王家の権力と宗教的側面の関係性が見られる場所であるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
ランスはフランス王家とゆかりの深い都市でゴシック様式の傑作であるノートル=ダム大聖堂では、フランス王が戴冠式を行った場所で、サン=レミ旧大修道院とトー宮殿は、戴冠式を行うランス大司教と関連の深い施設であるということが評価。そして、ここで確立した建築と彫刻の技術は、ドイツを中心としたヨーロッパに影響を与えています。
クローヴィスは、ゲルマン人の一派であるフランク族出身の王で、フランスで初めてローマ・カトリック(アタナシウス派)に改宗した人物。その後、ローマ・カトリックが正統となり、結果的にイタリアとの関係も強くなったので、彼が改宗したのは政治的理由とされています。『ダ・ヴィンチ・コード』では、メロヴィング朝の王家はイエスとマグダラのマリアの子孫だという話でしたが…まぁ、これは物語ですから。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。