スペインの世界遺産「サン・ミジャンのユソ修道院とスソ修道院」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(2), (4), (6)
登録年1997年

スペイン北部に位置するサン・ミジャン・デ・ラ・コゴージャには、6世紀に守護聖人ミジャンによって設立された修道院があり、ここは古くから聖地でもありました。10世紀に丘の上(スソ)、11世紀に丘の下(ユソ)とそれぞれ修道院が建造され、スソの修道院は最古のカスティーリャ語の文献『サン・ミジャンの注記』が発見。これはカスティーリャ語から現在のスペイン語へ繋がっていったということを示す大変貴重な資料です。

ここではサン・ミジャンのユソ修道院とスソ修道院がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、 ユソ修道院とスソ修道院について詳しくなること間違いなし!

目次

サン・ミジャンのユソ修道院とスソ修道院とは?

スペイン北部のラ・リオハ州にあるサン・ミジャン・デ・ラ・コゴージャは、6世紀にラ・リオハの守護聖人ミジャンが丘の上(スソ)で修業場を造り、それが修道院の基礎となり、ここは巡礼地となりました。

スソ修道院

サン・ミジャンのスソ修道院
画像素材:shutterstock

上(スソ)という意味で、丘の上に築かれた修道院。もともとは修行僧による修業の場として存在していたものの、10世紀になると修道院として建設されました。当時の建築要素は残されているものの、後の時代に礼拝堂やロマネスク様式の墓などが加えられています。

ここには最古のカスティーリャ語の文献『サン・ミジャンの注記』が記された場所としても有名。もともとはラテン語の文章ではありましたが、後にカスティーリャ語とバスク語を追加していったもの。これは現在のスペイン語へ繋がっていったという点では、世界初の「スペイン語」の文献とも言えます。

ユソ修道院

サン・ミジャンのユソ修道院
画像素材:shutterstock

下(ユソ)という意味で、渓谷に位置する修道院で11世紀に建造されたものの、現在の建造物は14世紀にイギリス軍によって破壊され、すべて再建されました。現在残る最古の部分は16世紀のゴシック様式の教会であり、2階建ての回廊は上階がルネサンス様式、下階がゴシック・フランボワイヤン様式(後期ゴシック様式)など、さまざまな様式が混在。

図書館には10世紀から書物を保管していて、スソ修道院に存在していた『サン・ミジャンの注記』の写本も保管されています。

サン・ミジャンのユソ修道院とスソ修道院はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

サン・ミジャンのユソ修道院
画像素材:shutterstock

ユソ修道院とスソ修道院が評価されたのが、以下の点。

登録基準(ii)
ユソ修道院とスソ修道院は、6世紀から現在まで、この地におけるキリスト教の修道生活の始まりと継続的な存続を示す証拠であるという点。

登録基準(iv)
ユソ修道院とスソ修道院はイスラム、西ゴート、中世、ルネサンス、バロック様式など、さまざまな建築的な要素があることから、建築と自然を含む景観はスペインの歴史において重要な時期を示しているということ。

登録基準(vi)
ユソ修道院とスソ修道院は、現在多くのエリアで使用されているスペイン語の発祥の地として関連しているという点。

世界遺産マニアの結論と感想

ユソ修道院とスソ修道院は、6世紀から守護聖人ミジャンにゆかりの地として修道院が築かれ、現在まで続く巡礼地で、その長い期間に各時代の建築様式が加えられたため、スペインの歴史を示すという点で評価されています。そして、この修道院で記されたカタルーニャ語の文献が現在のスペイン語のルーツであるという点でも大変貴重な場所。

ちなみに、この地はスペイン語のルーツではありますが、近くに位置するナバラ州はバスク語の話者もいることから、バスク語に起源を持つ言葉も。そして、バスク語はスペイン語とは系統が異なるというかなり古い言語で「先印欧語」というジャンルになり、系統をすべて掴むのは難しいのです。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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