ギリシャの世界遺産「バッサイのアポロ・エピクリオス神殿」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(1), (2), (3)
登録年1986年

ペロポネソス半島の中西部のアルカディア山脈の山腹に残るアポロ・エピクリオス神殿は、紀元前5世紀に建造。ここはアポロン神の加護に感謝して建造されたもので、列柱はドーリア式、イオニア式、コリント式とギリシャのさまざまな建築様式が並び、ギリシャの建築史において古典様式からヘレニズム様式への移行期を示す建造物です。

ここではバッサイのアポロ・エピクリオス神殿がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、アポロ・エピクリオス神殿について詳しくなること間違いなし!

目次

バッサイのアポロ・エピクリオス神殿とは?

バッサイのアポロ・エピクリオス神殿
画像素材:shutterstock

神殿はペロポネソス半島の南西部にあるメッシニア県の山腹に位置します。パッサイとは「岩々の小さな谷間」という意味で、この地に残る神殿は古典期のギリシャ建築で保存状態が良いものの一つ。ここは紀元前5世紀にギリシャ文明の最盛期に建造されたもので、アポロ・エピクリオスは「加護を与える神アポロ」という意味。ペストの流行から太陽神であるアポロが住民を守ったとされ、ここに神殿を建造したとされています。

神殿は古代ギリシャ以降は長い間、忘れさられたものの、18世紀に再発見され、保存状態の良いことから学者や芸術家によって研究されてきました。ここは正面6本に対し、側面15本というギリシャの古典様式にもかかわらず、古代ギリシャの建築様式であるドーリア式、イオニア式、コリント式が融合していて、ヘレニズム様式への移行する段階を示しています。特にこの遺跡に残るコリント式の柱頭は、世界最古のもの。

バッサイのアポロ・エピクリオス神殿はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

バッサイのアポロ・エピクリオス神殿
画像素材:shutterstock

アポロ・エピクリオス神殿が評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
バッサイのアポロ・エピクリオス神殿は、ギリシャ古典期の建築にもかかわらず、ドーリア式、イオニア式、コリント式の列柱が見られ、独特の建築様式が見られるという点。

登録基準(ii)
バッサイのアポロ・エピクリオス神殿のコリント式の柱頭は、世界最古のコリント式の柱頭で、ギリシャやローマなどで見られるコリント式の建造物のルーツでもあるということ。

登録基準(iii)
バッサイのアポロ・エピクリオス神殿は、郊外に位置するため、開発から逃れることができ、農村地帯にかつて存在したギリシャの至聖所を持つ聖域の顕著な例が今でも見られるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

ペロポネソス半島の山間部に位置するバッサイのアポロ・エピクリオス神殿は、開発されることもなく、長い間埋もれていたため、保存状態が良く、当時のギリシャ神殿がそのまま保存されているという点で評価。そして、神殿内に残る、世界最古のコリント式の柱頭は、地中海世界で見られるギリシャ・ローマのコリント式の建築物ルーツでもあるというのもポイント。

実は、ギリシャの世界遺産の中でも1986年登録と、アテネのアクロポリスよりも一年早く登録され、ギリシャでも最も古い世界遺産。それほどによく研究されていて、現在はテントで覆われているほどに現代のギリシャ人にとっても価値が高いもの。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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