登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (3), (4), (5) |
登録年 | 2018年 |
ケニア南西部にあるヴィクトリア湖の近くには、16世紀に建造されたと考えられる石壁で囲まれた集落跡があります。周辺はオヒンガと呼ばれる石壁で囲まれた集落跡が点在し、これは共同体や家畜を保護するものであったとされますが、当時の社会や部族間の関係性も示していたもの。ティムリカ・オヒンガはオヒンガの中でも保存状態が良いという点で評価されています。
ここではティムリカ・オヒンガがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ティムリカ・オヒンガについて詳しくなること間違いなし!
ティムリカ・オヒンガとは?
ケニア南西部のニャンザ州にあり、ヴィクトリア湖の周辺に位置するティムリカ・オヒンガは、石壁で囲まれた集落で、ここは16世紀から20世紀半ばまで利用されていたと考えられています。オヒンガはこの地に多く建造され、主に共同体と家畜を守るために建造されたもの。
ティムリカ・オヒンガは、コチエン、カクク、コケッチ、コルオッチという4つの石壁で構成され、これらはモルタルとセメントを使用せずに石積みされたもの。壁は高さ1.5mから4.5mに積まれ、厚さは約1mのもの。これらはさまざまな大きさの石が整然と並べられています。ここでは鍛冶や牧畜などを行っていたという跡が残り、さまざまな社会システムが見られ、16〜17世紀にかけてビクトリア湖周辺における人類の移住と定住の足跡が残っています。
ティムリカ・オヒンガはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ティムリカ・オヒンガが評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
ティムリカ・オヒンガは、異なる言語が起源の住民による共同体が見られ、彼らは牧畜や工芸品の制作などで暮らしたことを示し、オヒンガごとにそれぞれの社会があり、互いの相互関係があることから、16世紀から20世紀半ばの共同体の定住跡が見られるという点。
登録基準(iv)
ティムリカ・オヒンガの石壁は、ヴィクトリア湖とサハラ以南のエリアの人々の移動と定住を示すもので、ここはビクトリア湖流域の空間の設計と居住が見られ、3つの段階で石を積むという建築技術が見られる石壁は石造りの建築物の中でも優れた例であるということ。
登録基準(v)
ティムリカ・オヒンガは、16世紀から20世紀半ばに存在したヴィクトリア湖周辺に存在した牧畜を中心とした定住地を代表するオヒンガの中でも保存状態の良い例であるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
ティムリカ・オヒンガは、オヒンガと呼ばれる牧畜を生業とした集落跡の中でも最も保存状態が良く、異なる地方からヴィクトリア湖に訪れた移民たちによって形成され、ここは3つの段階の石積みで建造された石壁で囲まれた共同体が存在したことを示し、それぞれ牧畜や工芸品の制作をしながら暮らしたものであるという点で評価されています。
ちなみに、現在この地に住むルオ族は農耕などをして暮らしていましたが、第44代アメリカ合衆国大統領であるバラク・オバマの父であるバラク・オバマ・シニアも実はルオ族出身で彼のルーツの一つはここにあります。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。