登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (3) |
登録年 | 1985年 |
ブルガリア北東部にあるスヴェシュタリ村の近くには、かつてバルカン半島東部に住んでいたトラキア人の保存状態の良い墳墓があります。王と王妃の遺体があった玄室には、10体の女性立像が並ぶカリアティードに王と戦士、女神が描かれた天井画があり、これはトラキア人の文化とギリシャ風のヘレニズム文化の融合が見られるもの。
ここではスヴェシュタリのトラキア人の墳墓がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、トラキア人の墳墓について詳しくなること間違いなし!
スヴェシュタリのトラキア人の墳墓とは?
ブルガリア北東部のラズグラト州は青銅器時代から人が暮らしていたとされ、古代ギリシャ時代にはトラキア人という先住民族が暮らしていました。スヴェシュタリ村の近くには、1982年にトラキア人の王と王妃を埋葬した墳墓が発見。これは紀元前3世紀に作られたもので、高さ17m、直径70mの墳丘の内部には細長い通路が築かれ、その奥には玄室があります。
玄室の壁にはギリシャ風の「カリアティード」と呼ばれる女性の立像を柱にした装飾があり、丸天井には馬にまたがる王と戦士、女神がフレスコ画で描かれています。これらはトラキア人による宗教建築ではありますが、他の地域では発見されたことのない独特の様式の墳墓。そして、これらはトラキア人の部族であるゲテス族の文化とヘレニズム文化の融合が見られるという点が特徴です。
スヴェシュタリのトラキア人の墳墓はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
トラキア人の墳墓が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
スヴェシュタリのトラキア人の墳墓は、カリアティードという女性の像に植物の要素を加えた柱が並び、これらは黄色や茶色、青、赤などの色合いが施され、まるで埋葬者のために会葬者が踊っているかのようなイメージで描かれているという点。
登録基準(iii)
スヴェシュタリのトラキア人の墳墓は、現在のバルカン半島の東部に住んでいたトラキア人の部族の一つ、ゲテス族の文化が見られるもの。これらはギリシャ風のヘレニズムとの交流を示し、それが地元の芸術の融合が見られ、葬送の文化と建築の装飾において独自なものであったということ。
世界遺産マニアの結論と感想
スヴェシュタリ村の郊外にある墳墓は、記録の少ないトラキア人の葬送の文化が見られますが、建築的な装飾にはギリシャ風のカリアティードなどが見られ、南方のギリシャ人との接触も見られ、他の地域では見られない独自なものであるという点で評価されています。
ちなみに、トラキア人というと、最近では金や銀製品の優れた工芸品が発見されていて、ソフィア考古学博物館にはカザンラク近郊で発掘された「黄金のマスク」が展示されています。そして、カザンラクのトラキア人の墳墓も世界遺産に登録。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。