登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (4) |
登録年 | 2014年 |
オランダ西部の大都市ロッテルダムの郊外にある工業地帯には、20世紀の産業建築の傑作であるファン・ネレ工場があります。ここはガラスと鉄で作られたカーテンウォールなど、快適な労働環境を整えた理想の工場として、モダニズムと機能主義のシンボル的存在でもありました。
ここではファン・ネレ工場がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ファン・ネレ工場について詳しくなること間違いなし!
ファン・ネレ工場とは?
オランダ第2の都市ロッテルダムには、1925〜1995年まで操業されたファン・ネレ工場があります。ここは1920年に建設が始まり、1931年に竣工し、たばこ、コーヒー、紅茶の販売を行っていたファン・ネレ社の工場として建造。倉庫や事務所を含めて、いくつかの工場から構成されています。
ファン・ネレ工場は鉄筋コンクリートを使用されたモダニズム建築で、特に建物ファサードは、当時最先端の技術であった鉄とガラスで作られた「カーテンウォール」を持つことで有名。そのため、日光が建物内に降り注ぎ、快適な労働環境となるという機能主義が採用されました。こういった目立った設備もあり、ヴァルター・グロピウスやブルーノ・タウト、ル・コルビュジェなど、著名なモダニズム建築家に注目されるほど。
そして、工場ではコーヒー、紅茶、タバコなど、熱帯地方からの輸入品を加工していていたことから、ヨーロッパにおけるオランダの産業と商業の繁栄を示すものでもあります。
ファン・ネレ工場はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ファン・ネレ工場が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
ファン・ネレ工場は、20世紀初頭におけるヨーロッパや北米におけるさまざまな建築技術が結集された工場建築で、これらは第一次世界大戦と第二次世界大戦の間のオランダのモダニズムにも貢献し、世界中に影響力があったという点。
登録基準(iv)
ファン・ネレ工場は、合理的な組織で、工場そのものの機能性も優れており、鉄とガラスのカーテンウォールなど、オープンな内部空間を持ち、日光を取り入れる構造である傑作となっていて、これらは快適な労働空間を持つ、外の世界に開かれた産業建築であるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
ファン・ネレ工場は、20世紀における最先端の建築技術が結集し、それらはカーテンウォールなど、労働環境の優れたモダニズム建築で、これは世界中に影響を与えたという点で評価されています。
ちなみに、タバコ工場の屋上には「菓子箱」と呼ばれる喫茶室があり、ロッテルダム港や市街が一望できるようになっていて、あらゆる面で「工場」という枠組みを超えた建築物だったのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。