登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (2), (4) |
登録年 | 1987年 |
現在はイギリスの国会議事堂になっているウェストミンスター宮殿は、1860年にゴシック・リバイバル様式で再建されたもの。その近くにある11世紀以降の王が戴冠したウェストミンスター寺院と、ゴシック様式の小さな教会・マーガレット教会などを含めて、英国王室の歴史と関連する遺産として評価されています。
ここでは、ウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター寺院(アビー)と聖マーガレット教会がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター寺院(アビー)と聖マーガレット教会について詳しくなること間違いなし!
ウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター寺院(アビー)と聖マーガレット教会とは?ビッグベンも含まれる?
イギリスの首都ロンドン中心部の西側、テムズ川沿いにあるウェストミンスター地区。ここには、11世紀にエドワード懺悔王が王宮と宮殿を設置して以来、イギリスの政治と宗教の中心となった場所です。ここはウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター寺院、聖マーガレット教会という、英国王室に関連する宮殿や教会などが並んでいます。
登録されている主な構成資産
ウェストミンスター宮殿
「ビッグ・ベン」で知られるウェストミンスター宮殿は、11世紀にエドワード懺悔王がここで宮殿を建設し、16世紀にヘンリー8世が王宮を移すまで、ここが英国の王宮でもありました。17世紀には王党派と議会派に割れて内戦が起こったピューリタン革命のきっかけとなる場所でもあったのです。
1834年に火事が発生し、ウェストミンスター・ホールなどの一部の建設物以外はすべて燃えてしまい、現在の建物は1860年にゴシック・リバイバル様式で再建されたもの。その際にビッグベンが追加されました。
現在の宮殿はオーク材などを使用した中世当時の様子が分かるウェストミンスター・ホール以外は、ほぼ再建されたもの。宮殿は国会議事堂として、立憲民主制と二院内閣制の原型を作り出した建物として評価されています。
ウェストミンスター寺院(アビー)
イギリスとフランスのゴシック様式が混じり合うウェストミンスター寺院は、11世紀にエドワード懺悔王が建造したもの。現在の英国王室のルーツでもあるノルマン朝のウィリアム1世が1066年にここで戴冠式を行ってから、ほとんどの王がここで戴冠式を行っています。英国王室の結婚式もここで行われることも。
13~18世紀の英国王は、ほとんどがこの寺院に埋葬されていて、英国王室にとって重要な場所の一つです。他にもアイザック・ニュートンやチャールズ・ダーウィンなどの英国を代表する科学者、第一次世界大戦の戦死者などもここで眠っています。
聖マーガレット教会
12世紀ににベネディクト会派聖職者によって教会が建設されましたが、15〜16世紀にテューダー朝様式の教会として再建されました。ここは一般の信者たちに向けて建設されたもので、上流階級の結婚式場としても使用されていたこともあります。
ウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター寺院(アビー)と聖マーガレット教会はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
ウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター寺院(アビー)と聖マーガレット教会が評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
ウェストミンスター寺院(アビー)はフランスの建築様式なども取り入れた、ゴシック様式の発展などが見られるということ。
登録基準(ii)
ウェストミンスター宮殿は、中世の建築物をベースに19世紀のゴシック・リバイバル様式で再建されたもので、この建設に関わった建築家たちの作品にも大きく影響を与えたということ。
登録基準(iv)
ウェストミンスター地区の建築物は、立憲民主制を象徴するもので、「英国史の博物館」といった存在であるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
ウェストミンスター地区の建築物は、一部はテューダー朝に再建されたものでありますが、基本的にはゴシック様式の傑作であると同時に、英国王室や議会の歴史を示すシンボル的な存在であるという点で評価されています。
ちなみに、ビッグベンは通称で正式名称はエリザベス・タワー。2012年はエリザベス2世の在位60周年ということもあり、名称をクロック・タワーからこの名前に変えたのですが、あまり定着していないというのが現状。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。