「世界遺産」とは、世界遺産条約に基づいた世界遺産リストに登録された物件のこと。人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」を持つ不動産であり、文化遺産と自然遺産、複合遺産の3種類に分けられる、ユネスコの遺産の一つ。
世界的に有名なスポットが登録されていることは、なんとなく知っていると思いますが、その意味や目的については意外と説明するのは難しいのでは?今回は「世界遺産とはなにか?」を世界遺産マニアが分かりやすく解説していきましょう。
世界遺産の目的とは?
世界遺産は、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)が管理する物件のことで、おもに移動が不可能な不動産のことを指します。この不動産は、1972年のユネスコ総会で採択された国際条約「世界遺産条約」に基づいて「世界遺産リスト(世界遺産一覧表)」に登録されたものだけが、世界遺産となるというルールがあります。
おもに文化財や景観、自然環境などが世界遺産ではあり、現在もリストの数は年々増えて行っています。世界遺産が生まれた理由としては、顕著な普遍的価値を持つ遺産は、当時、開発や紛争、災害……といった、従来とは異なる新たな破壊の脅威に直面していることもあったため、リストに登録して保護し、国際的な協力体制の確立するという必要があったのです。
「世界遺産条約」の詳細はこちら世界遺産はどんな意味を持つ?
1978年に20件の世界遺産が誕生しました。実はそれ以前にも日本の重要文化財やアメリカの国立公園制度など、遺跡や文化財、自然を保護をする取り組みは多くあったのですが、世界遺産条約は文化遺産と自然遺産を一つの条約で登録するというのが、最大の特徴。これによりジャンルが幅広くなった上に、各国が世界遺産条約の締約国となることで信託基金も集まり、遺産の保全活動が続けられ、新たなる世界遺産も増えていっているのです。
そして、世界遺産リストには「危機遺産リスト」という、潜在的・顕在的に保存することが難しい遺産を登録することで、年に一回開催される世界委員会で定期報告が行われるため、適切な保護活動が求められ、常に保全状況が確認されるというシステムがあります。これにより、保護が行わるように監視できる一方、顕著な普遍的価値が失われたと判断されると、世界遺産リストが抹消されてしまいます。例えば、オマーンの「アラビアオリックスの保護区」は2007年度、リストから抹消されたものの一つ。
世界遺産は「世界で最も成功した国際条約」と呼ばれることも!
こうやってリストに載っている世界遺産は毎年監視されているため、状態が保たれる一方、観光地としての魅力というだけでなく、メディアに取り上げられることで、世界遺産の教育や広報に繋がるという効果があります。
それもあり、現在は世界遺産条約を締約している国は200カ国近くに増加、その物件は1000件を越えるほどの規模となり、「世界で最も成功した国際条約」と呼ばれるほどになりました。しかし、その一方、あまりにも増えていったため、政治的な意図による登録、過剰な都市開発による景観保護の難しさ、オーバーツーリズムによるごみ問題など、さまざまな問題が生まれてしまったのも事実。
その点でも、世界遺産マニアでは、世界遺産の素晴らしさを伝えるとともに、世界遺産となった故の問題点も述べています。今後の世界遺産の保護について、ユネスコや世界遺産委員会だけでなく、ぜひみんなも考えていきましょう!そのきっかけとなると嬉しいです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。