世界遺産とは基本的に単独で登録されているイメージですが、複合体として登録されている場合は、その複合体を構成する資産として「構成資産」と呼ばれます。実はこの構成資産は、世界遺産を登録する際にとても重要なもの。
今回は構成資産を世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、構成資産について具体的に理解できること間違いなし!
構成資産は、複合体として登録される「シリアル・ノミネーション・サイト」に見られるもの
日本の遺産で例を挙げるなら、「姫路城」は城単独で登録されていますが、「古都京都の文化財」は金閣寺や銀閣寺、清水寺など17箇所の建造物が集合体として世界遺産となっています。つまり、この場合、金閣寺や銀閣寺、清水寺など、京都府と滋賀県に点在する建造物で世界遺産が構成されることから、一つ一つの建造物が「構成資産」となるもの。
世界遺産の分類には、複数の資産を複合体として登録されているのが「シリアル・ノミネーション・サイト」と呼ばれ、日本でいうと「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」や「白川郷・五箇山の合掌造り集落」、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」など、エリアだけでなく、県をまたいで登録されている遺産も意外と多いのです。
国をまたぐ構成資産は「トランスバウンダリー・サイト」と呼ばれ、例えば、中国・カザフスタン・キルギスにまたがる「シルクロード:長安-天山回廊の交易路網」は、シルクロードをテーマに交易路を含む33の構成資産が登録。このように一つのテーマで世界遺産を登録できるという点で、この概念は近年の世界遺産に特に多く用いれられています。
さらに、「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-」はフランスの建築物が中心であるものの、建築家であるル・コルビュジエは世界各地で近代建築の設計を行ったため、7ヶ国17の建築物が構成資産として登録されていて、大陸をまたがることから「トランス・コンチネンタル・サイト」とされているもの。
最近の世界遺産は構成資産をテーマごとにまとめるパターンも多い
構成資産は「古都京都の文化財」のように、さまざまな遺産が集まって構成される遺産のタイプで用いられる概念で、最近の世界遺産はどれだけこの構成資産を一つのテーマでまとめられるか…というのも新たな遺産を作る基準となっていたりします。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。