世界遺産の中でも、文化遺産は記念物や建造物群、文化的景観などを指すもの。自然遺産との違いは、建造物か人工物か否かという点ではありますが、具体的にどのようなものが文化遺産に登録されているのでしょうか?
今回は世界文化遺産を世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、世界文化遺産について具体的に理解できること間違いなし!
世界文化遺産とは?自然遺産との違いは?
世界遺産は、主に文化遺産と自然遺産、複合遺産の3つに分類されています。文化遺産とは、おもに記念物や建造物群、文化的景観などを指すもの。自然遺産との違いは、人工のものであること。登録基準でいうと(i)〜(vi)のいずれか1つ以上を認められている遺産です。2024年現在、文化遺産は933件登録。なんと世界遺産は全体の約8割が文化遺産なのです!
文化遺産の定義は?
世界遺産条約1章第1条には、次のように定義されています(以下は文部科学省HPによる和訳です)。
記念工作物
建築物、記念的意義を有する彫刻及び絵画、考古学的な性質の物件及び構造物、金石文、洞穴住居並びにこれらの物件の組合せであって歴史上、芸術上または学術上顕著な普遍的価値を有するもの
建造物群
独立しまたは連続した建造物の群であって、その建築様式、均質性または景観内の位置のために、歴史上、芸術上または学術上顕著な普遍的価値を有するもの
遺跡
人工の所産(自然と結合したものを含む)及び考古学的遺跡を含む区域であって、歴史上、芸術上、民俗学上または人類学上顕著な普遍的価値を有するもの
つまり、記念物や建築物、遺跡などが文化遺産だと定義されています。
日本の文化遺産一覧
具体的にどんな遺産が文化遺産なのでしょうか?日本の遺産の例を見てみましょう。実は日本の世界遺産は25件中20件が文化遺産(2024年現在)。
・法隆寺地域の仏教建造物 1993年登録
・姫路城 1993年登録
・古都京都の文化財(京都市、宇治市、大津市) 1994年登録
・白川郷・五箇山の合掌造り集落 1995年登録
・原爆ドーム 1996年登録
・厳島神社 1996年登録
・古都奈良の文化財 1998年登録
・日光の社寺 1999年登録
・琉球王国のグスク及び関連遺産群 2000年登録
・紀伊山地の霊場と参詣道 2004年登録
・石見銀山遺跡とその文化的景観 2007年登録
・平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群― 2011年登録
・富士山―信仰の対象と芸術の源泉 2013年登録
・富岡製糸場と絹産業遺産群 2014年登録
・明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業 2015年登録
・ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献- 2016年登録
・「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群 2017年登録
・長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産 2018年登録
・百舌鳥・古市古墳群 -古代日本の墳墓群- 2019年登録
・北海道・北東北の縄文遺跡群 2021年登録
世界遺産マニアの結論と感想
世界遺産のほとんどは文化遺産と言ってもいいでしょう。基本的に文化遺産は人類史で価値のあるものならなんでも文化遺産になってしまうので、幅が広い反面、「それも文化遺産と言って良いものか?」というほどにマイナーな物件が登録されたりします。
そして、富士山も文化遺産となるので、何を持って「文化」とするかは解釈の仕方だったりしますね…。900件近くの世界文化遺産が登録されているので、世界は文化遺産で溢れているのです。
※写真はイメージです
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。