「ラビリンス(Labyrinth)」は、迷路や複雑な道が入り組んだ構造を指す言葉。日本では一般的に「迷路」そのものをイメージすると思いますが、実はヨーロッパではデザインにも多く利用されていたります。
今回はラビリンスの意味を世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ラビリンスについて具体的に理解できること間違いなし!
そもそもラビリンスはどんな意味?

ラビリンスは、一般的には部屋や道が複雑に入り組み、通路が交差するという構造を指し、出口を探すのが困難というのはどこも共通。実はラビリンスのデザインそのものは、新石器時代から図形としては描かれていたというほどに古く、古代人にとっては重要なモチーフでした。
それもあり、複雑で分かりにくい状態や、困難な状況を表す比喩として「ラビリンスのようだ」と使われ、物理的な迷路を示すだけでなく、精神的・抽象的な意味もあります。
実はギリシャがルーツ?



クレタ島は東地中海に浮かぶ、8336平方kmもの広大な島で、ギリシャには数々の島がありますが、その中でも最大の島です。島はヨーロッパの中でも最初期の文明の一つであるミノア文明が栄えた地。
島のほぼ中心にあるクノッソス宮殿の遺構が最も有名で、ここは劇場や倉庫、ホールなど、広大な宮殿があったことから、後に牛頭人身の怪物であるミノタウロスが暮らしていたとされる、両頭斧(ラブリュス)の間がある壮大なラビリンス(迷宮)のイメージへと繋がりました。しかし、ラブリュスのルーツそのものは、アナトリア半島がルーツという説も。
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大聖堂にはラビリンスが描かれている?



キリスト教でもバシリカ教会堂の床には迷宮柄のデザインがかつては描かれていました。これは4世紀のアルジェリアで見られ、その後、聖堂の床にはクレタ島様式の迷宮柄が描かれるように。世界遺産でいうと、フランス北部のシャルトル、ランス、アミアンのゴシック建築の大聖堂の床にも迷宮が描かれていて、現在でも見られます。
しかし、その建造の目的は不明であり、時代が下るようになって、迷路というよりも模様のような形状になっていきました。イギリスでは、芝生で迷路を作るという伝統が古来より残っていますが、これはキリスト教というよりも、それ以前の古代の太陽崇拝から由来するとされるものの、詳しいことは不明です。
世界遺産マニアの結論と感想
少なくともラビリンス(迷宮)の由来は、古代ギリシャ時代のクノッソス宮殿であることは有力です。それもあり、ラビリンスといえば、古代ギリシャがルーツという説が一般的ですが、エジプトのカイロ近郊にあるハワーラには、中王国時代のアメンエムハト3世(紀元前1842年〜紀元前1797年、または紀元前1860年〜紀元前1814年)のピラミッドの近くに壮大な葬祭殿があり、それこそがラビリンスのルーツという説も。
迷宮だけにその由来も目的も結局「迷宮入り」なのかもしれません…。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。