ギリシャの世界遺産「神学者聖ヨハネ修道院と黙示録の洞窟を含むパトモス島の歴史地区 (ホーラ)」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(3), (4), (6)
登録年1999年

エーゲ海東部に浮かぶ小さな島・パトモス島は、かつてイエス・キリストの十二使徒の一人、聖ヨハネが『新約聖書』の福音書と黙示録を書いたとされる場所。10世紀に修道院が建造され、ビザンツ帝国のアレクシオス1世によって植民地化されると、ここはギリシャ正教において学問と巡礼の地として栄え、多くの建造物が建造されました。

ここでは神学者聖ヨハネ修道院と黙示録の洞窟を含むパトモス島の歴史地区 (ホーラ)がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、パトモス島の歴史地区について詳しくなること間違いなし!

目次

神学者聖ヨハネ修道院と黙示録の洞窟を含むパトモス島の歴史地区 (ホーラ)とは?

黙示録の洞窟/パトモス島
画像素材:shutterstock

パトモス島はトルコ領であるアナトリア半島にもほど近いドデカネス諸島の一つ。ここはもともとローマ帝国の流刑地であり、当時はキリスト教徒が迫害されていたため、95年ころにイエス・キリストの十二使徒の一人である聖ヨハネがここに流され、キリスト教の聖典である『新約聖書』の福音書と黙示録を執筆されたとされます。

彼が過ごしたとされる丘には、10世紀には「神学者聖ヨハネ修道院」が建造。ここはビザンツ帝国のアレクシオス1世によって植民地化されると、修道院の周辺には集落が建造され、現在はホーラと呼ばれる町となっています。町はコンスタンティノープルやクレタ島の難民によって居住区が拡張し続けました。16世紀後半から17世紀にかけて交易都市として繁栄したため、現在でも白を基調とした商人の館や小さな教会が点在。

神学者聖ヨハネ修道院

神学者聖ヨハネ修道院/パトモス島
画像素材:shutterstock

かつてはアナトリア半島の女神アルテミスの神殿があった場所に建造された修道院。要塞で囲まれた修道院となっていて、塔や多角形の建造が集まる城のような外観であるのが特徴です。内壁は白い壁となっていて、11世紀に建造されたカトリコン(主聖堂)、礼拝堂、食堂などで構成されています。

黙示録の洞窟

黙示録の洞窟/パトモス島
画像素材:shutterstock

ホーラからスカーラ(港)へと急勾配の道を下っていくと、聖ヨハネがここで福音書と黙示録を弟子のプロクロスに口述筆記した場所とされる「黙示録の洞窟」があります。現在は小さな教会と礼拝堂、修道院があり、多くの巡礼者が訪れる聖地。

神学者聖ヨハネ修道院と黙示録の洞窟を含むパトモス島の歴史地区 (ホーラ)はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

パトモス島の歴史地区 (ホーラ)
画像素材:shutterstock

パトモス島の歴史地区が評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
パトモス島のホーラは、12世紀以降途切れることがなく、発展し続けてきた、数少ないギリシャの入植地の一つで、初期のキリスト教の儀式が今でも行われているという世界でも数少ない場所であるという点。

登録基準(iv)
神学者聖ヨハネ修道院と黙示録の洞窟は、ホーラの中世の集落とともに、卓越した建造物とともにギリシャ正教会の巡礼地として構成されているということ。

登録基準(vi)
神学者聖ヨハネ修道院と黙示録の洞窟は、聖ヨハネによって『新約聖書』の福音書と黙示録を書いたとされ、これはキリスト教にとって大事な聖典を執筆したという重要な場所であるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

パトモス島のホーラは、ギリシャの植民地の一つであり、ここには聖ヨハネが福音書と黙示録を書いた場所として、教会や修道院など、記念碑的建造物が作られ、今でも巡礼地において初期キリスト教の儀式が行われているという点で評価されています。

ちなみに、聖ヨハネによる「福音書」はイエスの直弟子の中で唯一の福音書であるという点で貴重ではあるものの、既に3世紀ころから著者が本当にヨハネかどうかは疑問が出ていたほど。現在では、伝統的には「彼が書いた」としていますが、近代ではほぼ誰も支持していない説でもあります。彼はパトモス島で幽閉されていたものの、実は十二使徒の中で唯一殉教しなかったとされる人物で、最後は現在のトルコのエフェソスで晩年を過ごしたそうな…。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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