毎年行われる日本テレビ系列の番組『24時間テレビ 「愛は地球を救う」』のテーマソングである『サライ』は、番組のファンファーレを飾ることで有名。ところで、この「サライ」とはどんな意味か知っていますか?
今回はサライの意味を世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、サライについて具体的に理解できること間違いなし!
『サライ』は24時間テレビのために作詞作曲された曲
楽曲の歴史としては、割と最近であり、1992年の第15回目の放映の祈念として、歌手の加山雄三氏が作曲し、全国の視聴者からのメッセージをベースに歌手の谷村新司氏が、24時間以内に制作したもの。それもあり、日本武道館で行われるエンディングでは『サライ』を合唱するというのがお決まりでもありますね(とはいえ、2022年には加山氏は番組から引退し、2023年に谷村氏は死去したため、現在では登場しません)。
その後、この歌は『サライ』と名付けられ、CDも発売。しかし、番組の曲とCDの曲とは大きく異なっています。
「サライ」はペルシャ語で「宿(または家)」を意味するもの
歌詞には「サクラ吹雪」というワードも出てくるので、日本をテーマにしてはいるものの、「サライ(Saray)」という言葉はペルシア語で「宿(または家)」を意味しています。ペルシアとは現在のイランを示すエリアであるものの、日本テレビによると「砂漠のオアシス」という意味も込められているということから「心のオアシス」へと繋がり、それが曲名になっているとのこと。
イランでサライというと、キャラバンサライのイメージがあり、これはキャラバン(隊商)+サライ(宿)という意味する「隊商宿」。かつてシルクロードや巡礼路などのルート上に築かれた隊商宿は、国内に多くあり、現在も数百ものキャラバンサライが見られます。
世界遺産に登録されている「サライ」はここ!
それでは、世界遺産で登録されているキャバンサライをご紹介していきましょう。
ペルシアのキャラバンサライ/イラン
イラン各地には、数百ものキャラバンサライが残されていて、25のキャラバンサライが世界遺産に登録されています。キャラバンサライは、それぞれ建築様式が異なり芸術的価値が高いものである一方、東西の文明の文化や科学、芸術、宗教などを結ぶという役割もありました。
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ティリャー・コリー・モスク・マドラサ(ティラカリ・マドラサ)/ウズベキスタン
ウズベキスタン南東部にあるサマルカンドの旧市街の中心地であるレギスタン広場。レギスタンとは「砂地」という意味で、もともとバザールなどが開かれた公共広場でした。ここは謁見式だけでなく、罪人の処刑の場としても利用されたもの。
広場の北側にあるティリャー・コリー・モスク・マドラサは、1660年に建造。ここはティムール朝4代目のウルグ・ベク(1394〜1449年)によって建造されたキャラバンサライがあった場所に築かれました。内部にはモスクがあり、サマルカンドの主要な礼拝所となっていた場所。「ティラカリ」は「金箔された」という意味で、礼拝所の天井は金箔を3kgも使った壮麗なもの。
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シャキの歴史地区とハーンの宮殿
シャキは首都のバクーから北西へ約330kmの距離にある都市。コーカサス山脈東部の渓谷に位置するシェキの歴史は古く、紀元前6世紀にまで遡ります。公益で栄えたシャキは、キリスト教が1世紀、イスラム教は7世紀に伝来し、さまざまな文化を受け入れてきました。隊商宿(キャラバンサライ)は各地で集められたインテリアなどで飾られています。
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世界遺産マニアの結論と感想
世界各地で「サライ」というと、ペルシアの砂漠のイメージになりがちですが、日本においては「24時間テレビの曲」という特殊な事情があり、しかも、楽曲を制作した後に名付けられたために、ちょっと歌詞とタイトルに違和感が出ている感はあるかもしれません。しかし、ここまで有名な楽曲であり、もはやそこを突っ込むのも野暮なもの。大事なのは正しい意味ではなく、どれだけ人を感動させるか…ではないでしょうか?
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。