2025年の年頭所感!世界遺産マニアは今、何を思うか?

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2024年はいよいよ世界遺産も1200件を越え、世界遺産条約締約国も196か国に…。戦争や紛争が続き、災害によって破壊の脅威にさらされている遺産も多くあり、世界は混迷していくなか、これから世界遺産はどうなっていくのでしょうか?

そして、2025年はどんな遺産が登録されるのか?サイトもオープンして3年目となる今年について、僭越ですが…世界遺産マニアが年頭所感をいろいろと語らせていただきましょう。

目次

2024年に新たに登録された世界遺産は…新潟以外は知ってる?

佐渡島の金山
画像素材:shutterstock

とりあえず、新潟県初の世界遺産「佐渡島の金山」について、登録おめでとうございます!2023年には申請が間に合わず、事前審査では「登録延期」となり、ちょっとヒヤッとしましたが、なんとか世界遺産として登録されてよかったと思っています。

日本では佐渡金山は話題になりましたが、それ以外については…世界遺産になる前に知っている方はいますでしょうか?まぁ、北京の中心軸はともかく、イタリアのアッピア街道は世界史の授業で学んだ人もいるかもしれませんが、たぶん知らないでしょう。

というのも、有名観光地はほとんど世界遺産には登録されているし、「文化的景観」や「記憶の場所」ど、新しいカテゴリーや概念を取り入れたことによる多様化が進み、正直知名度の低いスポットが多くなったのが現実でしょうか?

そもそも「知名度がない」スポットが選ばれることがなぜ多いのか?

レンソイス・マラニャンセス国立公園
画像素材:shutterstock

例えば、シーツのように白い砂丘が続く、ブラジルの「レンソイス・マラニャンセス国立公園」は日本のテレビ番組でも紹介されたこともあり、地名は知らなくても画像を見れば「ああ、ここか!」と思うかもですね。まぁ、名前だけ見ても、ピンとこないでしょうけど。

その一方、本当に一度も聞いたことがない場所が多くなっているというのも事実。世界遺産の数も増えてきてしまい、各国もなんとか探し出しているという状況であるのは疑いないでしょう。そして、昨今は世界遺産の知名度も上がってきたことから、世界遺産委員会も産業遺産や考古遺跡など、幅広く評価していくという傾向にあるために、この流れは今後も続くと思われます。

しかし…その分、新しい遺産の価値が見ただけで分かりづらくなっているというのも事実です。もちろん、世界遺産登録が「知るきっかけ」になっているとは思うのですが、一目見ただけでその価値が分からない遺産が増え続けるというのも、いつかは問題になってくる可能性もありますね。SNS全盛期の時代に、画像の魅力がないものは、その国以外の人々にどう魅力を伝えるのか?これからの課題だと思います。

2025年には「ノイシュヴァンシュタイン城」が世界遺産に推薦予定!それならディズニーランドもOKでは?

ノイシュヴァンシュタイン城
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世界的観光地で登録されていない遺産はいくつかありますが、その中でも世界遺産だと思いきや、世界遺産ではないノイシュヴァンシュタイン城がいよいよ2025年の世界遺産委員会で推薦・審議される予定。実はこれ19世紀にバイエルン公のルートヴィヒ2世による妄想の世界を実現したもので、美しいといえば美しいので観光的にはOKなのですが、ヨーロッパの建築様式を合わせたテーマパークのようなもので「歴史的価値」はほとんどないというのが事実。

しかし「ルートヴィヒ2世の夢の世界を現実に実現した」という点でなんとか普遍的な価値にして登録予定ではあるのですが、結構これは無理やり感があると個人的には感じます。それならディズニーランドも同じなのでは?…というツッコミが来ないことを祈るばかりですが。そこはドイツ政府もよく考えているでしょうけど。

2023年から登場した「記憶の場所」はこれからも増えていく?

カンボジアの記憶の場:弾圧の中心から平和と反省の地へ
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2023年に登録された、アルゼンチンの世界遺産「ESMA『記憶の場』博物館-かつての拘禁、拷問、絶滅の秘密センター」、ルワンダの世界遺産「ジェノサイド記憶の場 : ニャマタ、ムランビ、ビセセロ、ギソッチ」など、「記憶の場」という新しいカテゴリーが生まれました。これは国家や国民、コミュニティが記憶に残したい出来事が起こった場所が選ばれ、おもに近代から現代に発生した大規模な戦争や虐殺などが発生した場所を登録しています。

広島の原爆ドームやポーランドのアウシュヴィッツ収容所など、すでに「負の遺産」というカテゴリーがあるものの…これはユネスコが率先して名付けているわけではないので、「記憶の場」のほうが公式的なカテゴリーでもあります。

それもあり、2024年も記憶の場は選ばれていて、2025年には「カンボジアの記憶の場:弾圧の中心から平和と反省の地へ」が登録を目指しており、これは1975~1979年にかけて、カンボジアの人口の約4分の1が犠牲となった大虐殺の記憶を残す刑務所跡や埋葬地などが登録される予定です。昨今の世界では痛ましい紛争や虐殺が続いてるので、こういう遺産登録が増えることによって少し自制を促すことができるのが良いのですが…。

2025年も多くの遺産が登録される年になると良いですね!

手厳しいことも言ってしまいましたが…世界遺産が増えることは個人的には嬉しいと思っています!むしろ、今年の候補は新規だけでも33件もあるので豊作になる予感です。

その一方、戦争や紛争によって破壊の危機になっている遺産もあるので、なる早で登録したのに「消えてしまう」という可能性もあるわけです。それを考慮すると「記憶の場」はこれからの世界ではとても大事かもしれません。

最後に…ノイシュヴァンシュタイン城がOKなら、これからはテーマパークなども世界遺産として認められそうなので、その範囲の拡大にも注目ですね!…もしかして浅草の「花やしき」などもいけるかもですね。

そして、今年も世界遺産マニアをどうぞよろしくお願いします!

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