ブラジルの世界遺産候補「レンソイス・マラニャンセス国立公園」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分(暫定リストに記載)自然遺産
登録基準(暫定リストに記載)(7), (8), (10)
申請年(暫定リストに記載)2007年

レンソイス・マラニャンセス国立公園は、ブラジル北部に広がる南米最大の砂丘を中心とした公園。まるでシーツのような白い砂丘が波のように並ぶという絶景が続きます。雨季の終わりになると無数の湖が出現し、そこには魚が暮らすという不思議な現象が見られることでも有名。公園内には絶滅危惧種も暮らしていて、湖にはここでしか見られない独特の海綿動物も生息しているというのも特徴です。

ここではレンソイス・マラニャンセス国立公園がなぜ世界遺産候補なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、レンソイス・マラニャンセス国立公園について詳しくなること間違いなし!

目次

レンソイス・マラニャンセス国立公園とは?

レンソイス・マラニャンセス国立公園
画像素材:shutterstock

ブラジル北東部に位置するマラニャン州。レンソイス・マラニャンセス国立公園とは、「マラニャンセス(マラニャン州の)」「レンソイス(シーツ)」という意味で、シーツのように白い砂丘が波打つように見えることで知られます。高さ10〜30mほどの砂丘は海岸線に沿って広がり、これは砂漠ではなく、南に位置するパラナイーバ川の河口まで運ばれる土や泥に石英が含まれていて、それらが海岸近くまで流されると石英だけが残り、これが風によって砂丘に積もるという仕組み。

ここは1〜6月の雨季になると雨が降るため、砂丘の間の低地は湖となり、7〜9月には青や緑、黒などのカラフルな湖が多く並ぶようになり、他では見られない絶景が見られます。そして、奇妙なことにそれぞれの湖には川とも繋がっていないにもかかわらず、魚類が暮らしているという点。これにはさまざまな説がありますが、卵が地下水脈で孵化する説や鳥が卵を運ぶという説などがあるものの、今でもはっきりとはしていません。

ショウジョウトキ/レンソイス・マラニャンセス国立公園
画像素材:shutterstock

公園は、セラード(サバンナ)や半乾燥地帯、アマゾンの生態系が集まり、登録範囲にはマングローブや砂丘だけでなく、レスティンガと呼ばれる、荒野で見られる低木の木々など、豊かな植生が見られます。

園内には、ショウジョウトキと呼ばれる珍しいトキ科の鳥だけでなく、オナガカワウソに絶滅危惧種のジャガーネコとアメリカマナティーなど、貴重な動物も多く生息。そして、雨季の後に出現する湖には、ここでしか見られない固有種である海綿動物も見られます。

レンソイス・マラニャンセス国立公園はどんな理由で世界遺産に登録される予定なの?

レンソイス・マラニャンセス国立公園
画像素材:shutterstock

レンソイス・マラニャンセス国立公園が評価されたのが、以下の点。

登録基準(vii)
公園は、高さ10〜30mの砂丘が続く海岸線が広がり、まるで鎖のような形状になっていて、海と砂丘、湖が続くことから多くの訪問者はさまざまなアクティビティが楽しめます。その中でも「バイシャ・グランデ」は砂漠のオアシスのような存在で、ここではさまざまな植物が見られ、鳥類も多く訪れる場所として知られているという点。

登録基準(viii)
ブラジル北東部には、広大な盆地があり、古生代(約5億4100万〜約2億5190万年前)初めから中生代(約2億5217万年前〜約6600万年)の終わりまで、地盤の沈下と隆起によって形成されました。公園は、白亜紀(約1億4500万年前〜6600万年前)に形成されたバヘイリーニャス盆地にあり、先カンブリア紀(5億4100万年前以前)の片麻岩(へんまがん)や花崗岩、石英で構成され、第四紀(258万8000年前〜現代)に発展した海岸砂丘であり、何千もの湖が点在する貴重な砂丘群です。さらに砂丘は風の作用によって変化していき、継続的な変化により、湖も同様に変化が見られるということ。

登録基準(x)
公園は海や河川などの影響を受けた植物が多く見られ、63科133種の植物が生息。園内には、ショウジョウトキと呼ばれる珍しいトキ科の鳥を代表的に、112種の鳥類が見られる場所です。そして、絶滅危惧種であり、この地域の固有種ブラジルミミガメが生息することでも有名。オナガカワウソに絶滅危惧種のジャガーネコとアメリカマナティーなど、貴重な動物も多く生息。そして、雨季の後に出現する湖には、ここでしか見られない固有種である海綿動物も見られるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

レンソイス・マラニャンセス国立公園は、古生代から形成された盆地が発展し、白亜の混じった土や泥が運ばれ、風化によって誕生した白い砂丘が続く絶景で有名。ここはセラードや半乾燥地帯、アマゾンの生態系が入り交じることから、絶滅危惧種や固有種を含んだ貴重な動植物が見られるという点で評価されています。

ちなみに、マラニャン州の州都サンルイスは「サン・ルイス歴史地区」として世界遺産に登録。しかし、レンソイス・マラニャンセス国立公園は街から約260kmも離れていて、日帰りは難しいところ。砂漠でないとはいえど、場所によっては大型四輪駆動車でもスムーズに進めず、じっくりと楽しむのなら、近隣のバへリーニャスという小さな町からのツアーに参加するほうがおすすめ。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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