2024年に新たに登録される予定の世界遺産はどの国のどんな遺産でしょうか?
ここでは、2024年7月に世界遺産委員会で審議される予定の世界遺産候補をご紹介。これを読めば、2024年に登録予定の世界遺産について詳しくなること間違いなし!
目次
佐渡島の金山/日本
新潟県に属する佐渡島は、面積は854.76平方kmと、北方領土以外では沖縄本島の次に大きな島。ここは400年以上に渡って金と銀の採掘が行われた鉱山があり、江戸時代から使用されていた、労働者たちが暮らす町や集落、奉行所、関連施設の跡が揃っていて、アジアの鉱山遺産の中でも保存状態が良いもの。
ここで発展した採掘技術や管理体制などは、東アジアの鉱山にも影響を与え、大量に採掘された金によって江戸幕府や明治政府を支え、国際経済に多大な影響を与えました。
詳細はこちら↓
北京の中心軸:中国首都の理想的秩序を示す建築物群/中国
北京の旧市街は元(1271〜1368年)の時代に築かれ、明(1368〜1644年)と清(1636〜1912年)の時代に発展し、800年に渡って開発が行われてきました。
北京における「中心軸」というのは、旧市街でも南方に位置する永定門から北へ、正陽門、天安門広場、紫禁城、景山を通る、約7.8kmの範囲を示します。この軸は、北京の旧市街の中心地であり、宮殿や祭壇、祭壇、市場、街路、鐘楼、鼓楼、さらには1949年に建設された天安門広場などが集まるエリア。
詳細はこちら↓
プー・プラ・バート歴史公園/タイ
タイの北東部の大都市ウドーンターニーから西へ約54kmの位置にある歴史公園。ここは先史時代から神聖な場所として崇められていて、「プー(山)」と「プラ・バート(聖なる足跡)」という意味の通り、ここは丘の上に築かれた施設で、ブッダの足跡を祀り、祭事が行われた場所でもありました。
キノコ型の奇岩や赤い塗料で描かれた壁画などが残っていて、各時代の文化の集合体といった存在でもあります。
詳細はこちら↓
ニア国立公園の洞窟群の考古遺跡/マレーシア
マレーシアのボルネオ島にあるサラワク州にある国立公園。ここは海底に沈んでいる大地が浸食された後、熱帯雨林と石灰岩の洞窟が組み合わされた景観が形成されまました。敷地内には石灰岩の丘、低地熱帯雨林、洞窟などが広がっています。
洞窟では1958年に3万5000年〜4万年前の人類の遺骨が発見されました。発見当時はアフリカ以外で発見された現生人類の遺骨としては最古のものとされ、これは人類学に衝撃を与えたもの。
詳細はこちら↓
モイダムス–アホム王朝の墳墓埋葬システム/インド
インド北東部のアッサム州には、13世紀に現在の中国・雲南省から移住したアホム族(タイ系シャン族)によって築かれたアホム王朝が存在した地。彼らはここに「山の上のまばゆい都市」を意味するチャライデオを建設し、その後、首都は移転するものの、チャライデオは王族の儀式が行われる神聖な場所でした。
ここにはモイダムと呼ばれる古墳のような墳墓が築かれました。この地に王族は埋葬され、アホム族独自の埋葬風景が今でも見られます。
詳細はこちら↓
ハグマターナ(エクバタナ)とハマダーン歴史地区/イラン
ハマダーンはイラン西部のハマダーン州の州都。ここは古代ギリシャ語で「エクバタナ」と呼ばれ、古代ペルシャ語では「ハグマターナ」と呼ばれました。ハグマターナは、イラン高原において最も古い都市の一つで、広大な都市であったとされています。
かつてここがメディア王国(不明〜前550年)の首都ハグマターナ(エクバタナ)だったとされることでも有名で、遺跡は後のパルティアやサーサーン朝、イスラム時代までに至って都市が繁栄した様子を現在に残すもの。
詳細はこちら↓
アル=ファウ考古地域の文化的景観/サウジアラビア
アラビア半島の中央部に位置し、世界最大級の砂漠・ルブアルハリのすぐそばに位置するオアシス都市遺跡。古代の交易において、アラビア半島南部でのみ収穫された乳香は非常に貴重で、この地には半島を南北に横断するキャラバンの交易路があり、アル=ファウはこのルートの経由地でもありました。
ここはかつてこの地域に存在しキンダ王国(フジュル朝、450年頃〜550年頃)の首都であった場所で、砂漠の中でも農業が可能なオアシスでした。そして、イスラム以前の神であるカールが崇拝されていて、宮殿のフレスコ画やさまざまな古代文字の碑文が発見されたりと、貴重な遺跡です。
詳細はこちら↓
ウム・アル=ジマル/ヨルダン
ヨルダン北部に位置するマフラク県にあるウム・アル=ジマル。ここは1世紀から8世紀まで700〜800年に渡って繁栄した都市でした。4〜5世紀にローマ帝国によって再建され、当時の神殿や貯水池、城壁、門などの遺構が残っています。そして、要塞の機能をもっていました。
ここは砂漠の乾燥地帯に各時代の建築物が多く並んでいて、それぞれ保存状態も良好であるというのが特徴です。
詳細はこちら↓
イズニク(ニカイア):文明間の移行の痕跡/トルコ
アナトリア半島北西部のブルサ県に位置していて、イズニク湖という細長い湖の東岸に位置するのがイズニク。周囲には塚などが発見されていて、先史時代から人が暮らしていました。街は紀元前4世紀にアレクサンドロス大王の将軍アンティゴノス(紀元前382年〜紀元前301年)によって設立。
イズニクはかつて「ニカイア」と呼ばれ、マケドニア、ローマ、ビザンツ、イスラム時代には中心都市であり、ルーム・セルジューク朝やニカイア帝国の首都として栄えた場所。オスマン帝国に支配されると陶器の産地となり、ここで生産されたイズニク製のタイルは美しいことでも有名です。
詳細はこちら↓
フロー・カントリー地域/イギリス
スコットランドでも最北部にあるケイスネス州とサザーランド州にまたがる約4000平方kmにも及ぶ広大なエリア。ここはヨーロッパでも最大規模の「ブランケット湿原」と呼ばれる泥炭が広がる大地に、沼地が点在しています。「フロー」とは、沼地や湿った土地を意味する「フロイ」から由来。
ここは泥炭や沼が多く点在する広大な荒れ地で、植物はミズゴケなどが生えている程度ですが、貴重な鳥類が多く生息することでも知られます。
詳細はこちら↓
シュヴェリーンのレジデンス集合群/ドイツ
ドイツ北部のシュヴェリーンは、湖に囲まれた街。ここには「北のノイシュヴァンシュタイン城」と呼ばれるシュヴェリーン城があります。16世紀になると、要塞という機能よりも宮殿(レジデンス)としての役割が強くなり、フランスのシャンボール城にインスピレーションを得て、ルネサンス様式の要素が加わりました。
敷地内には、中央の広場を中心に建造物が並び、礼拝堂や劇場、博物館などが並んでいます。部屋数は地下室や屋根裏部屋を含めると、合計で900もあるとか。
詳細はこちら↓
アッピア街道(街道の女王)/イタリア
アッピア街道は、古代ローマ人にとって「街道の女王」と呼ばれるほどに偉大なる道路でもあります。ここは紀元前312年に首都であったローマ市の中心フォロ・ロマーノからイタリア中部のカープア(古代都市)までを結ぶと、領土が拡大していくうちに延伸し、やがて紀元前264年にはギリシャ方面へと結ぶ主要港であった、イタリア南東部のブルンディシウム(現在のブリンディジ)まで、合計で約540kmにもなりました。
ローマ人はおもに玄武岩を敷き詰めて街道を舗装し、安定性と排水性を高めていて、あらゆる気象条件でも移動できるというのが特徴。
詳細はこちら↓
ヴィエトレニツァ洞窟、ラヴノ/ボスニア・ヘルツェゴビナ
ボスニア・ヘルツェゴヴィナ南部の村ラヴノの郊外に位置するヴェエトレニツァ洞窟は、合計6100mもの地下水路があり、ここは国内でも最長の洞窟となっています。内部は、鍾乳石や大きな空洞、湖、滝、小川など、さまざまな景観が広がる美しい洞窟。
洞窟で暮らすトログロバイトは85種も生息していて、多種多様な動物が見られるのが特徴。そして、動物の化石も発見されていて、洞窟ではさまざまな研究が行われてきました。
詳細はこちら↓
バチュの文化的景観/セルビア
セルビア北部にあるヴォイヴォディナ自治州。ここは国際河川のドナウ川とティサ川の間に位置する街で、中世のほとんどの期間はハンガリー王国(1000〜1918年)の支配下にありました。
ここは肥沃な土地であったことから当時から集落が築かれ、各国との国境地帯にあったことから、8つの塔を持つ要塞が築かれ、壮大な構造が現在も残っています。現在は5つだけ保存されていて、最も高い塔は天守の役割があり、高さは20m。
詳細はこちら↓
ローマ帝国の辺境-ダキア/ルーマニア
ダキアというのは、現在のルーマニアの領土のことを指し、古くはダキア人とゲダエ人という部族が暮らしていたエリア。ローマ帝国の皇帝ハドリアヌスがダキア戦争(101〜2・105〜106年)によって勝利すると、ダキア属州が設立。
ここはローマ帝国の辺境の地となり、外敵の圧力を受けていたために要塞を含めたリーメス(境界線)を建造する必要がありました。現在では国内に7つのリーメスが発見されています。
詳細はこちら↓
トゥルグ・ジウのブランクーシ記念作品群/ルーマニア
コンスタンティン・ブランクーシは、ルーマニアを代表する建築家で、20世紀の抽象彫刻に多大な影響を与えています。ルーマニア南西部にある都市トゥルグ・ジウは、彼がこの地方で幼少期を過ごした場所。
1938年に『沈黙のテーブル』『キスの門」『無限の柱』を提供したため、20世紀を代表する抽象彫刻の傑作が今でも市内で見られます。
詳細はこちら↓
ケノゼロ湖の遺産/ロシア
ロシア北西部に位置するアルハンゲリスク州にあるケノゼルスキー国立公園。その中でも最大の湖は、ケノゼロ湖でオネガ川の支流であるケナ川の水源となっています。
周辺には木造の教会を中心とした農村集落が、12〜16世紀にかけて形成され、ここは民族芸術と自然が共存した文化的景観が広がっています。
詳細はこちら↓
マデイラのレヴァダス/ポルトガル
大西洋に浮かぶマデイラ島は15世紀からポルトガル人が植民を開始し、古くはサトウキビ、現在はワインの生産で有名。レヴァダスとは、ポルトガル語で「levar(運ぶ)」から由来する言葉であり、島内には約800kmもの歩道に隣接した灌漑水路のネットワークが広がっています。
レヴァダスは、19世紀以降は国家事業となり、幅は1mを越え、深さは1m20cmにも達する水路も建造。現在も農業だけでなく、水力発電所のインフラとしても活躍しています。
詳細はこちら↓
メルカ・クンツレとバルヒトの考古学・古生物学の遺跡/エチオピア
エチオピア中心部にあるメルカ・クンツレとバルヒトは、首都アジス・アベバから南方へ約50kmの距離にある遺跡。ここは標高約2000mの高地にあり、エチオピア東部を流れるアワッシュ川の上流に位置しています。
ここは地殻変動によって沖積堆積物や火山堆積物によって覆われたエリアであり、地下には先史時代の化石や石器などが埋まっていて、これらは170万年前に現人類が高地に適応しながら居住したことを示す証拠でもあります。
詳細はこちら↓
ティエベレ王宮/ブルキナファソ
ブルキナファソ南部からガーナ北部に渡って暮らしているカッセーナ族は、グルンセ族の一派であると考えられていて、15世紀からこの地方で暮らすようになったとされています。彼らの首長制度は16世紀から誕生し、そして、現在のティエベレが中心地となり、王族や貴族が暮らすようになりました。
ここには外壁にカラフルで独特の壁画が施された王宮があり、先祖から続く居住地。これらは女性がデザインしたもので、カッセーナ族の伝統が今でも色濃く残されているという点で貴重です。
詳細はこちら↓
ゲディの歴史都市と考古学遺跡/ケニア
ケニア南東部のゲディは小さな町ではありますが、郊外にはかつてこの地で大いに栄えたスワヒリ文化の都市・ゲディが存在していました。11〜13世紀にも遡る交易都市でしたが、17世紀に放棄されたために現在は遺構だけが残っています。
遺跡には広大なモスクや宮殿、城壁の跡などがあり、保存状態が良く、スワヒリ文化において繁栄した都市国家の姿が今でも分かるという点で貴重。
詳細はこちら↓
現生人類の出現:南アフリカの更新世の居住地群/南アフリカ
今は世界中で暮らしている現生人類は、約20万年前(年代に関しては諸説あり)にアフリカにて誕生したとされています。南アフリカ各地には、洞窟や川など、更新世(約258万年前〜約1万1700年前)の中期〜後期まで、現生人類の進化が分かる場所が点在。これは現生人類の起源を解き明かす証拠の一つとして貴重なもの。
アフリカ南部に暮らすコイサン諸語は地球上で存在する最古の現生人類の系統で、彼らの先祖は120〜130万年に遡るということも分かり、これらの遺跡は現生人類の起源についての学説に多大に貢献してきました。
詳細はこちら↓
テ・ヘヌア・エナタ(マルキーズ諸島)/フランス
マルキーズ諸島(マルケサス諸島)は、南太平洋に浮かぶ12の火山島群で、これらはフランス領ポリネシアに属しています。ここは赤道に近く、オーストラリア大陸から約5700km、アメリカ大陸から約6000kmと、世界でも最も孤立した島群の一つで、陸地面積は1050平方kmであるにもかかわらず、海洋面積は70万平方kmも広がっています。
ここは太古にアジアから渡ってきたポリネシア人が長い年月を経て辿り着き、今でも残る建築物や風習などは、彼らによって独自の文化が築かれてきたことを示しています。
詳細はこちら↓
パナマの植民地時代の地峡横断道路/パナマ
パナマは中央アメリカにおいて最も幅が狭いという地峡地帯でもあり、太平洋と大西洋を陸上交通で容易に結ぶことができることから、16世紀にスペイン帝国によって商品を輸送する地峡横断道路が築かれました。
世界遺産としては、2つの地峡横断道路と、カリブ沿岸と太平洋側の遺構が合わさって登録され、ここが「太陽が沈まない国」スペインにとって軍事・商業的に重要なルートであったことを示すという点で評価されています。
詳細はこちら↓
レンソイス・マラニャンセス国立公園/ブラジル
ブラジル北東部に位置するマラニャン州。レンソイス・マラニャンセス国立公園とは、「マラニャンセス(マラニャン州の)」「レンソイス(シーツ)」という意味で、シーツのように白い砂丘が波打つように見えることで知られます。
雨季の終わりになると無数の湖が出現し、そこには魚が暮らすという不思議な現象が見られることでも有名。公園内には絶滅危惧種も暮らしていて、湖にはここでしか見られない独特の海綿動物が生息しているというのも特徴です。
詳細はこちら↓
モラヴィア教会の入植地/イギリス・ドイツ・アメリカ・デンマーク
モラヴィア教会(兄弟団)とは、プロテスタントのルター派教会の一派であり、キリスト教に対し、新生、敬虔さ、伝道、善行を目指すという共同体運動の一つ。2015年に「モラヴィア教会の入植地クリスチャンスフェルド」として登録されたデンマークのクリスチャンスフェルドの拡大遺産であり、ドイツのヘルンフート、アメリカのベツレヘム歴史地区、イギリスのグレースヒルに拡大予定。
ここは彼らの平等主義とヒューマニズムという哲学が重視された建造物が並び、プロテスタントの理想都市となりました。
詳細はこちら↓
世界遺産マニアの結論と感想
2024年7月に開催される第46回世界遺産委員会では、なんと25件の遺産が審査される予定です!いよいよ世界遺産リストも1200件に達しようとしています。果たして今年はどんな世界遺産が登録されるのか?注目ですね!
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。