なぜ「錦帯橋」は世界遺産でないのか?世界遺産マニアがそのあたりの事情を解説

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山口県岩国市にある錦帯橋は、県内でも有数の観光地で世界遺産に登録されていると思いきや…実は世界遺産じゃないんです。これだけ有名な観光地なのになぜ?

ここでは錦帯橋が、なぜ世界遺産でないのか?世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、錦帯橋について詳しくなること間違いなし!

目次

錦帯橋とは?

錦帯橋
画像素材:AdobeStock

岩国市はかつて岩国藩の治めていた土地で、現在の岩国城から錦川を挟んで対岸に城下町が広がっていました。城と城下町を結ぶために橋が架けられたものの、錦川の洪水により安定せずに何回も崩壊してしまいました。そこで3代領主の吉川広嘉(1621〜1679年)によって、洪水に耐えられる橋を建造する計画が立てられます。

錦帯橋は、かき餅や中国の橋をモチーフにしたなど、さまざまな説があるものの、1673年には木造の5連橋が完成しました。しかし、1674年には木橋が落ちてしまい、再度橋台を強化して再建。この改良によって1950年まで300年近くも残り続けることとなりました。

錦帯橋
画像素材:AdobeStock

しかし、1950年に台風によって崩壊し、完全に流出してしまいました。現在の錦帯橋は1953年に再建されたもの。

橋は全長193.3mとなっていて、釘が一本も遣われていないという高度な技術が見られます。4つの橋脚を持ち、中央の3連の橋がアーチ橋、両端の橋が橋桁となっているのが特徴。アーチ橋は勾配を緩めながら突き出るような構造で、世界的にも珍しいもの。江戸時代にはアーチ橋は20年ごと、橋桁は40年ごとに架け替えられ、その技術は現在まで継承されています。そして、現在でも木材はすべて国産のものを利用。

錦帯橋はなぜ世界遺産として登録されないの?

錦帯橋
画像素材:AdobeStock

錦帯橋は観光客には人気のあるスポットではありますが、世界遺産としては登録されていません。これはなぜでしょうか?

実は世界遺産に登録させるには、世界遺産条約の締約国の政府が世界遺産センター(世界遺産委員会事務局)の協力を受けながら世界遺産候補である「暫定リスト」を作成する必要があるのです。つまり、暫定リストに掲載されていない遺産は、世界遺産に推薦することはできません。

そして、現在の日本の暫定リストには錦帯橋が記載されていないため…残念ながら世界遺産になる可能性は今のところ0%です。しかし、山口県と岩国市では2006年から「錦帯橋と岩国の町割」として登録へ向けて活動が行われ、意見交換会やシンポジウムなどを開催。暫定リストへの掲載へ向けて少しずつ活動が行われているのです。

世界遺産マニアの結論と感想

残念ながら錦帯橋は世界遺産ではありませんが…しかし、それは現段階の話。現在は世界遺産登録へ向けて県と市で少しずつ活動しているので、まずは暫定リストへ向けて準備段階ではあります。よって、まだまだ時間はかかりますが、いずれかは世界遺産に登録されると良いですね!

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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