パレスチナの世界遺産「古代エリコ(イェリコ)/テル・アッスルターン」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(3), (4)
登録年2023年

ヨルダン川西岸地区にあるエリコ。ここには紀元前1万年前から人類が暮らしていたということを示す集落遺跡「テル・アッスルターン」があり、世界最古の都市があったとされる場所。そして、遺構からは人類の文化のルーツをたどることができるというのが特徴です。

ここでは古代エリコ(イェリコ)/テル・アッスルターンが、なぜ世界遺産なのか?世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、エリコについて詳しくなること間違なし!

目次

古代エリコ(イェリコ)/テル・アッスルターンとは?

画像素材:shutterstock

ヨルダン川西岸地区でもヨルダン川河口から約15kmにも位置する低地にあるのがエリコの町。ここ海抜マイナス258mにあり、世界で最も標高の低い町としても有名です。

現在の中心部であるエル・リハから北へ約1.5kmに位置する「テル・アッスルターン」は世界でも最古の町の一つとされ、旧石器時代の紀元前1万年ころから人が住んでいたとされる場所。古代エリコは旧約聖書でも登場することから、今でも巡礼地の一つとなっています。

テル・アッスルターン

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ここはテル(丘)となっていて、最も古い層はナトゥーフ文化(紀元前1万2500年〜紀元前9500年ころ)に属し、文明の発祥地の一つとして、非常に重要な遺跡でもあります。ここは紀元前1万年前から7世紀のビザンツ帝国時代まで、23層もの集落が積み重なっているというのが特徴。ここは低地であったことから水が湧き出るオアシスであり、何千もの間に古代世界の十字路として、文化と貿易の中継地でもありました。

紀元前9000〜8000年ころの集落跡は石壁と溝で囲まれていて、ここでは古くから交易が行われ、この地では存在しない黒曜石があることから、遠く離れたアナトリア半島まで交易していたことが分かります。その後も何回か栄枯盛衰を繰り返し、青銅器時代(紀元前3000年代初期〜紀元前2000年代後半)にかけてはカナン人(イスラエル人が住む前にカナンの地で暮らした人々)の都市国家となり、住宅跡や墳墓の中には家具なども発見。

一時期は無人の町となり、紀元前20世紀に再建されるものの、紀元前16世紀にエジプトによって破壊されてしまいます。これは旧約聖書にも記載のある「エリコの戦い」とも関連するとされるもの。その後は丘は放棄され、都市は設立されず、王族や貴族たちの冬のリゾートとして利用されるようになり、最終的には中心部も現在のエル・リハへと移動していきます。

古代エリコ(イェリコ)/テル・アッスルターンはどんな理由で世界遺産に登録されているの?

画像素材:shutterstock

エリコが評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
エリコのテル・アッスルターンは、継続的に人類が居住するという点では世界最古の要塞都市。人類の歴史においては重要な遺構で、ここは動物を家畜にした最初期の定住社会が存在し、23層もの遺構から1万年に渡る人類の文化の発展を示すもので、要塞や住宅などの建築物や先祖崇拝の儀式が行われた跡を残しているということ。

登録基準(iv)
エリコのテル・エッ・スルターンは、定住社会において新石器時代の都市開発に大きく貢献した例であり、建築物は新石器時代の主要な特徴が見られます。ここは何層にも渡って新石器時代の都市構造、要塞、住宅などの建築の発展を示していて、世界で唯一要塞化された新石器時代の町の跡が見られるという点。

世界遺産マニアの結論と感想

エリコは、継続的に人が暮らすという点において、世界最古の集落遺跡であり、23層もの遺構の中には新石器時代の要塞都市の構造が見られるという世界でも貴重なもので、発掘物からは周辺都市との交易があったことから、古代の中東において文化や宗教、経済の中心地であったことがわかるという点で評価されています。

ちなみに、『旧約聖書』によるとここはモーセの息子ヨシュアによって「エリコの戦い」が行われた地。難攻不落の城塞都市エリコでしたが、イスラエルの民が、十戒の入った「契約の箱」を町の周囲で回ると、城壁が崩れ落ちたというエピソードで有名です。この契約の箱は「聖櫃(アーク)」と同等のものとされ、インディ・ジョーンズシリーズの一作目『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』でもおなじみ。まぁ、劇中でも箱を開けるとトンデモナイことが発生しましたが、聖櫃にはそれくらいすごいパワーがあるそうで…。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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