中国の世界遺産「京杭大運河」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(1), (3), (4), (6)
登録年2014年

中国の北京から杭州までを結ぶ合計で約2500kmの大運河は「京杭大運河」と呼ばれます。これは7世紀に整備され、13世紀には北は黄河、南は長江まで5つの大河を南北に結ぶという世界最大の運河となりました。現在でも中国の大動脈として使用されています。

ここでは、京杭大運河がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、京杭大運河について詳しくなること間違いなし!

目次

京杭大運河とは?

京杭大運河
画像素材:shutterstock

中国では「大運河」と呼ばれるもので、中国の東北部にある北京から淮水、黄河、長江を通って、浙江省の杭州まで結ぶ、約2500kmの運河はまさしく大運河と呼ぶべきスケールを持ちます。世界遺産として登録されているのは、その中でも1011kmの運河と58ヶ所の関連設備などを含むもの。

この大運河は、7世紀に統一王朝を開いた隋の2代皇帝・煬帝によって建造。天津と黄河を結ぶ永済渠、黄河と淮水を結ぶ通済渠、長江と杭州を結ぶ江南河が完成し、ここに約2500kmの大運河が完成したのです。しかし、これを建造した隋は民衆に反感を買い、やがて滅んでしまったほど。ここは産業革命以前に行われた世界最大級の土木事業でした。

そして、歴代の王朝によって運河が維持され、物資の流通が増大し、13世紀の元の時代になると、さらにルートが増え、再びピークに達します。その重要度は飛行機や高速船が開発される時代まで続いていて、現在でも中国の大動脈として利用されています。

京杭大運河はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

京杭大運河
画像素材:shutterstock

京杭大運河が評価されたのが、以下の点。

登録基準(i)
京杭大運河は、人間の創造性の優れた例であり、農業大国における建設技術と水力工学の発展を示しているということ。

登録基準(iii)
大運河は古代から中国経済を支えたもので、さまざまな王朝が利用し、20世紀に消え去っていった運河文化を証明するものであるという点。

登録基準(iv)
ここは世界でも最も長く古い運河であり、中国の土木工学の発展を示しているものであるということ。

登録基準(vi)
7世紀以降、現在まで大運河は中国経済において重要であると同時に、運河沿いに住む人々の文化交流が行われた場であったという点。

世界遺産マニアの結論と感想

とにかく世界でも最も長い運河であるという点で既に評価は高いのですが、重要なのはこの運河が7世紀には建造されていたという技術力の高さでもあります。そして、大運河を利用することで歴代王朝は繁栄し、運河を使う人々によって文化交流が行われていたという点もポイント。

ちなみに、スエズ運河、キール運河、パナマ運河は世界三大運河とされていますが、長さは世界8位、9位、10位であって思ったよりも短いのです。ちなみに、どれも人類の歴史では重要な割に世界遺産に登録されていないという不思議。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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