登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2),(4) |
登録年 | 1998年 |
カールスクルーナは、スウェーデン南部のバルト海に面した軍港都市。ここは17世紀後半にスウェーデン国王のカール11世によって建造され、造船所や工場を配置し、さらに行政施設や教会などを加えた近代的軍港のモデルとなりました。しかし、スウェーデンがバルト海の覇権を失ったため、その後、軍港の開発が進まず、往時の姿を残しています。
ここではカールスクルーナの軍港がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、カールスクルーナについて詳しくなること間違いなし!
カールスクルーナの軍港とは?
カールスクルーナは、スウェーデン南東部のブレーキンゲ県の県都であり、ここはバルト海に面しているため、ヨーロッパの大国に対して睨みをきかせるためには必要な場所でした。
スウェーデンの絶対王政を代表するカール11世によって1680年に軍港として建造され、当時バルト海を支配する大国であったスウェーデンの海軍基地と艦隊用の港として設計。ここには要塞や造船所はもちろん、商業地区や行政施設、居住区などが揃う軍港都市でもありました。
街はスウェーデンのバロック建築家によって設計されたということもあり、フレデリック教会などはその影響を受け、海軍のために聖三位一体教会なども建造。ここはイギリスやフランス、イタリアなどの軍港を模範にして、近代の軍港都市のモデルとなったものの、18世紀にスウェーデンは当時勢力を伸ばしていたロシア帝国に大北方戦争で敗北し、没落。そのため、ここは発展することもなく、当時の軍港の様子がそのまま残されました。
カールスクルーナの軍港はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
カールスクルーナが評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
カールスクルーナは、ヨーロッパにおいてもよく保存された海軍都市であり、近代軍港都市のモデルとしての役割を果たしたという点。
登録基準(iv)
カールスクルーナの軍港は、バルト帝国の軍港として、17世紀の海軍の力が政治的に優位だった時代に活躍した名残りであり、現存する軍港の中でも保存状態が良いということ。
世界遺産マニアの結論と感想
カールスクルーナは、かつてバルト帝国の港としてヨーロッパにおいて海軍の勢力が政治力になった時代の名残であり、優れた軍港都市であったものの、ロシアの台頭によってスウェーデンが一時的に衰退したため、ここは開発が進まず、保存状態が良いという点で評価されています。
現在は衰退したとはいえ、カールスクルーナ周辺はそれほど産業がなく、今でも潜水小艦隊や水上戦小艦隊の基地となっています。そういった事情もあり、1981年に近くの海域でソ連の潜水艦が座礁した事件も発生していて、現代でもスウェーデンにとっては重要な港ではあるのです。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。