登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (2), (4) |
登録年 | 2006年 |
ポーランド南西部にある都市ヴロツワフには、1911〜1913年にかけてドイツ人建築家マックス・ベルクによって建造された多目的ホールがあります。ここはローマの円形競技場をテーマにしたドームを中心に鉄筋コンクリートを使用した先鋭的な建築物で、その後の現代建築に大いに影響を与えました。
ここではヴロツワフの百周年記念ホールがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、百周年記念ホールについて詳しくなること間違いなし!
ヴロツワフの百周年記念ホールとは?
ポーランド南西部のドルヌィ・シロンスク(下シレジア)県の県都ヴロツワフは、設立は10世紀に遡るほどの歴史深く、シレジア地方の中心都市でもあります。郊外には1911〜1913年にドイツ人建築家マックス・ベルクの設計によって、1万人も収容できる多目的ホールが建造されました。
ヴロツワフは当時はプロイセン王国(現在のドイツの前身)の領土で、百周年というのは、1813年に行われたライプツィヒの戦いでプロイセンとヨーロッパ連合がナポレオン率いるフランス軍に大勝利したことから100年経過したことを記念したもの。
ここはローマの円形競技場をイメージしたドームを中心に左右対称の4つ葉形のスペースが作られたもの。直径69m、高さ42mという、世界最大の鉄筋コンクリートを使用したホール(当時)であり、先駆的な大型のモダニズム建築でした。これは現代建築にも繋がるも作品でもあります。
ヴロツワフの百周年記念ホールはどんな理由で世界遺産に登録されているの?
百周年記念ホールが評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
百周年記念ホールは、大規模な鉄筋コンクリートの建築物における革新的な技術が見られ、ここは金属の使用における建築史の転換期の一つを示すという点。
登録基準(ii)
百周年記念ホールは、20世紀初頭の建築技術の交換を示し、近代工学と建築における先駆的な作品で、後のコンクリート建築の発展において重要であるということ。
登録基準(iv)
百周年記念ホールは、ヴロツワフの見本市の一部であり、ここは会議や展示会、コンサート、演劇、オペラまで開催される現在の多目的ホール建築の優れた例であるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
ヴロツワフの百周年記念ホールは、20世紀初頭における鉄筋コンクリートの先駆的な作品で、後に世界で建造されるコンクリート建築の発展に大いに影響を与えた点で評価されています。そして、現在もさまざまなイベントで使用されているのもポイント。
ヴロツワフには「ヴロツワフの小人」という小さなおじさんの像が街に設置されていますが、これはポーランドの政党「オレンジ・オルタナティブ」が、共産主義に対してデモとして設置したのがはじまり。その小さなおじさんの像は年々増えていて、今やツアーや地図も販売されるほどの人気名所に。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。