登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (2), (4) |
登録年 | 2015年 |
ノルウェー南部にある山々や滝、渓谷に囲まれた地にあるリューカンとノトッデンは、ノシュク・ハイドロ社によって窒素を固定して人口肥料を製造するために建造された、水力発電所や送電線、工場、輸送システム、工業都市などが含まれています。ここには世界で2番目に大きかった「スヴェルグフォス水力発電所」などが残り、自然と産業遺産が交わる景観が続くのが特徴。
ここではリューカン=ノトデンの産業遺産がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、リューカン=ノトデンの産業遺産について詳しくなること間違いなし!
リューカン=ノトデンの産業遺産とは?
ノルウェー南部にあるテレマルク県にあるリューカンとノトデンという2つの町は、山々や滝、渓谷などの自然景観の中に水力発電所、送電線、工場、輸送システム、労働者の邸宅などが残っています。20世紀初頭は人口が増加し、世界的に食料不足となり、農業生産物の需要が高まっていました。
その対策として考案されたのが、物理学者クリスチャン・ビルケランドやサムエル・エイデによる「ビルケラン=エイデ法」で空気中の窒素を固定して作る合成肥料。これを作るためには大量の水力による電力が必要となったため、やがて大企業となるノルスク・ハイドロ社が1905年に設立され、リューカンとノトデンには企業都市が建造されました。
1907年にはノトデンに「スヴェルグフォス水力発電所」が建造され、1911年にリューカンには「ヴェーモルク水力発電所」が建設。特にスヴェルグフォス水力発電所は当時は世界でも2番目に大きな水力発電所でヨーロッパでも最大の発電量を誇りました。しかし、豊富な水量や落差のある滝が必要であったために「ビルケラン=エイデ法」は、その後の世界では普及することはなかったものの、ノルウェーは1950年代までヨーロッパでも最大の窒素輸出国へと成長。
ここは企業都市として労働者の邸宅と公共施設、肥料を運ぶ鉄道やフェリーを含めて、自然の中に産業施設が並ぶという、20世紀初頭のグローバル産業を代表するものでもあります。
リューカン=ノトデンの産業遺産はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
リューカン=ノトデンの産業遺産が評価されたのが、以下の点。
登録基準(ii)
リューカン=ノトデンの産業遺産は、20世紀初頭の技術開発の重要な交流を示す、自然景観の中に産業施設が組み合わされた施設であるという点。
登録基準(iv)
リューカン=ノトデンの産業遺産は、ダム、トンネル、パイプ、発電所、電力線、工場、企業都市、鉄道、フェリーなど、自然の中で水力発電を可能とする設備で構成され、20世紀初頭の新しいグローバル産業の例であるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
リューカン=ノトデンの産業遺産は、人口増加に伴う、農業の生産量を拡大するための「窒素による合成肥料」を作るための水力発電が行われた地で、自然のなかで産業施設が点在し、それらは世界との技術交流が見られる、20世紀の新しいグローバル産業であったという点で評価されています。
ちなみに、ノトデンは産業都市であるものの、国内最大級の木造教会があり、ブルースやメタルの音楽祭などが開催される文化都市でもあったりします。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。