イタリアの世界遺産「ピエモンテのブドウ畑の景観:ランゲ=ロエーロとモンフェッラート」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準(3), (5)
登録年2014年

イタリア北東部のピエモンテ州南部にある5つのワインの産地と、ワインの新しい技術を導入する一方、イタリア統一を果たしたカブール伯爵の住居だったグリンツァーネ・カヴール城が世界遺産に登録。ここは紀元前5世紀に先住民のエトルリア人とケルト人の交易の場で、彼らの言語はワイン関連の単語に今でも残っています。

ここではピエモンテのブドウ畑の景観:ランゲ=ロエーロとモンフェッラートがなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、ランゲ=ロエーロとモンフェッラートについて詳しくなること間違いなし!

目次

ピエモンテのブドウ畑の景観:ランゲ=ロエーロとモンフェッラートとは?

ピエモンテのブドウ畑の景観:ランゲ=ロエーロとモンフェッラートとは?
画像素材:shutterstock

ピエモンテ州南部、北はポー川、南はリグリア・アルプスの間に位置するエリアで、何世紀にも渡ってブドウ栽培とワイン製造に関する技術や経済的な発展が見られます。この地は紀元前5世紀ころに先住民のエトルリア人とケルト人が交易を行っていた時期のブドウの木の花粉も発見されていて、彼らの言語は今でもワイン関連の単語に残っているというほど。ローマ時代の博物学者であった大プリニウスの書物にもブドウ栽培の産地であるという記述もあります。

ここはバローロのあるランガ地区、バルバレスコの丘陵地、ニッツァ・モンフェッラートとバルベーラ、カネッリとアスティ・スプマンテ、インフェルノットのモンフェッラートといった、5つのワインの栽培地が登録。特にバローロ、バルバレスコ、アスティ・スプマンテは最高級イタリアワインの産地で、各地でワイン畑と丘の上の村、教会、ワインセラーなどが合わさり、古代からの土地区画に沿って美しい景観が広がります。

そして、イタリア統一を果たしたカブール伯爵が住んでいたグリンツァーネ・カヴール城も構成遺産になっていて、彼はワインの新しい技術を導入して、その品質を向上させることに成功しました。現在も城の周囲にはブドウ畑が広がっています。

ピエモンテのブドウ畑の景観:ランゲ=ロエーロとモンフェッラートはどんな理由で世界遺産に登録されているの?

グリンツァーネ・カヴール城/ピエモンテのブドウ畑の景観:ランゲ=ロエーロとモンフェッラートとは?
画像素材:shutterstock

ランゲ=ロエーロとモンフェッラートが評価されたのが、以下の点。

登録基準(ii)
ピエモンテのブドウ畑の景観は、長い歴史があり、現在に至るまで継続的に改良されてきたブドウの栽培とワイン製造の伝統を残すもの。ワイン畑や農村、都市などを含めた社会構造は、持続可能な経済の構造であり、ワイン作りに関する歴史と知識を示す構成要素が含まれているという点。

登録基準(v)
ランゲ=ロエーロとモンフェッラートのブドウ畑は、人間と自然との関わりを示す例で、やがて国際的な基準となるワイン製造の専門知識はゆっくりと発展し、ブドウの品種も向上させてきたもの。ワイン製造に関連する景観も美しく、ヨーロッパのブドウ畑の原型となっているということ。

世界遺産マニアの結論と感想

ピエモンテのブドウ畑の景観は、古くから磨かれて続けてきたブドウの栽培とワイン製造の伝統が残り、社会構造が今でも生き続け、その景観はヨーロッパにおけるブドウ畑の原型となっているという点で評価されています。ここでのワイン造りの技術は、バローロ、バルバレスコ、アスティ・スプマンテといった国際的に成功した銘柄に見られるというのがポイント。

ちなみに、今はイタリアのスプマンテ(スパークリングワイン)の代表格であるアスティ・スプマンテは、もともとはフランスのシャンパンを参考に1850年代以降に開発されたもの。かつては評価が低かったものの、現在はイタリアの最高級ワインの中でもトップクラスに生産量が多いワインになっています。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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