登録区分 | 自然遺産 |
登録基準 | (10) |
登録年 | 2019年(2024年拡大) |
中国東部の黄海の海岸には、世界でも最大規模の干潟の一つがあり、ここには多くの魚類や甲殻類が住むことから「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ」と呼ばれる渡り鳥の経路となっていて、絶滅危惧種のヘラシギを含む多くの鳥類が生息する場所。ここは渡り鳥の中継地として、換羽や休息、越冬、営巣などをして過ごすのが特徴で、現在は段階的にエリア拡大を目指しています。
ここでは中国の黄海=渤海湾沿岸の渡り鳥保護区群(第2段階)がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、渤海湾沿岸の渡り鳥保護区群について詳しくなること間違いなし!
中国の黄海=渤海湾沿岸の渡り鳥保護区群(第2段階)とは?
中国の東方に広がる黄海と、その奥にある遼東半島と山東半島の間にある渤海を含む大きな干潟は、世界最大の干潟の一つで、ここは非常に肥沃であり、魚類や甲殻類の生物多様性が多く見られるのが特徴。黄海と渤海の潮間帯は北極からユーラシア大陸東部、東アジア、東南アジア、オーストラリアを経由して移動するという「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ」に沿って、5000万羽以上の渡り鳥の経由地となっています。渡り鳥にとってこの地は、換羽や休息、越冬、営巣に最適な場所となっていて、湿地を保護するラムサール条約にも登録。
ここは絶滅危惧種のヘラシギを含む多くの鳥類が生息する場で、貴重な動物見られるエリア。もともとは16箇所のシリアル・ノミネーション・サイトとして登録予定でしたが、江蘇省塩城市にある「塩城自然保護区」の南部と北部の2箇所の保護区は脆弱な環境のために2019年に緊急登録されたため「第1段階」となっていましたが、2024年にはさらに追加で登録されたため、「第2段階」となりました。
中国の黄海=渤海湾沿岸の渡り鳥保護区群(第2段階)はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
渤海湾沿岸の渡り鳥保護区群が評価されたのが、以下の点。
登録基準(x)
干潟は世界の渡り鳥の保護区で、換羽や休息、越冬、営巣など、繁殖のための場所となっていて、なかには希少種や絶滅危惧種が見られます。絶滅危惧種のヘラシギとカラフトアオアシシギを含む「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ」を通る渡り鳥の10%以上にとっては重要な生息地で、クロツラヘラサギ、コウノトリ、タンチョウ、オオノコヅルなどが見られるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
渤海から黄海に渡る干潟はユーラシア大陸とオーストラリア大陸を行き来する渡り鳥にとって重要な中継地であり、絶滅危惧種も見られるという点で評価されています。そして、2024年には10箇所追加され、徐々に構成資産が増えていく予定であるというのがポイント。
ちなみに、ヘラシギは非常に個体数が少なく、このままだと今後5〜10年以内に絶滅する計算になるとか。現在は沿岸の開発のため、干潟がどんどん少なくなってしまったために生息地が激減しているのです。その状況もあり、緊急登録する必要があったのですね。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。