登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (1), (2), (4) |
登録年 | 1998年 |
オランダ北部の街レメルには、1920年に水利技師D・F・ヴァウダヘマールによって建設された世界最大規模の排水施設があります。これは現在も稼働していて、4基の蒸気エンジンが並ぶポンプは維持され、機械室や回廊のインテリアはエンジニアと建築家によって築かれ、インダストリアルデザインとしても優れたもの。
ここではIr.D.F.ヴァウダヘマール(D.F.ヴァウダ蒸気水揚げポンプ場)がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、Ir.D.F.ヴァウダヘマールについて詳しくなること間違いなし!
Ir.D.F.ヴァウダヘマール(D.F.ヴァウダ蒸気水揚げポンプ場)とは?
フリスラン県にあるレメルには、1920年に開設された世界最大規模のポンプ式の排水施設。オランダは古来から農地の浸水が課題となっていて、当時は国内でも約700箇所にポンプ場がありましたが、4基の蒸気エンジンが並ぶというポンプ場はその技術の集大成的存在であり、当時としては世界最大規模・最先端の技術でした。これはオランダの水力関連の技術者と建築家の傑作であり、今でも維持されています。
ポンプ場は、水利技師D・F・ヴァウダヘマール(1880〜1961年)によって設立され、ここはアイセル湖と面しているため、ポンプ場自体が防潮堤として機能していて、周囲には牧草地が広がっています。現在のポンプ場は、煙突、石炭貯蔵庫、水門、排水路などがそのまま残されていて、ディーゼルや電力を利用したポンプ場が増えていくなか、ここだけは当時のまま残され、インダストリアルデザインの傑作でもあります。
Ir.D.F.ヴァウダヘマール(D.F.ヴァウダ蒸気水揚げポンプ場)はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
Ir.D.F.ヴァウダヘマールが評価されたのが、以下の点。
登録基準(i)
古くからオランダでは農地の浸水に悩まされ、エネルギー源としての蒸気機関の出現により、オランダの技術者たちは水管理に応用したため、D.F.ヴァウダ蒸気水揚げポンプ場は、同時代のポンプ場としては世界最大のものであるという点。
登録基準(ii)
D.F.ヴァウダ蒸気水揚げポンプ場は何世紀にも渡って全世界のモデルとなり、その基準を引き上げたオランダの水力工学の頂点であったということ。
登録基準(iv)
D.F.ヴァウダ蒸気水揚げポンプ場は、オランダの技術者によって水をコントロールする目的として、自然の力を制御し、蒸気の優れた力学を利用したとという優れた証拠であるという点。
世界遺産マニアの結論と感想
蒸気エンジンを積んだポンプ場は、オランダが長年悩まされた排水を効率よく行うための世界最大の施設であり、その後の世界のモデルとなるほどに水力工学の頂点となったものであるという点で評価されています。
ちなみに、オランダといえば風車のイメージですが、これは排水を目的とした施設であり、ポンプ場はある意味、20世紀になって水車に変わる排水設備でありました。世界遺産としては、「キンデルダイク=エルスハウトの風車網」も登録されていて、オランダの世界遺産は排水との戦いを克服するための設備が多いというのが特徴です。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。