登録区分 | 文化遺産 |
登録基準 | (3), (6) |
登録年 | 2013年 |
忍野八海(おしのはっかい)は「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産の一つ。ここは富士講で訪れた人々が8つの湧水を巡る「八海巡り」をしていたことから「八海」と呼ばれるようになりました。ところで、忍野八海はなぜ世界遺産なのでしょうか?意外と知ってそうで知らない!
ここでは忍野八海がなぜ世界遺産なのか、世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、忍野八海について詳しくなること間違いなし!
忍野八海とは?
山中湖の北西に位置する忍野村にある8か所の湧泉(ゆうすい)は「忍野八海」と呼ばれます。ここは富士山や周辺の杓子山・石割山の伏流水が水源となり、透明な地下水が湧き出て形成されたとされ、やがて霊場となり、富士講で訪れた人々が8つの湧水を巡る「八海巡り」をしていたことから「八海」と呼ばれるようになりました。1843年に仏法を守護する「八大竜王」が祀られるようになると巡礼路が整備されました。
最大規模の「出口池」、最も小さい「お釜池」、最奥にある「底抜池」、銚子(酒器)に由来する「銚子池」、最も透明度の高い「湧池」、川の水と合わさった「濁池」、逆さ富士が映る「鏡池」、周囲に芭蕉が生い茂る「菖蒲池」の8つが個別で世界遺産に登録されています。
忍野八海はどんな理由で世界遺産に登録されているの?
忍野八海が評価されたのが、以下の点。
登録基準(iii)
成層火山として雄大な富士山は、断続的な火山活動があったことから、古代から現代にいたるまで伝統的な山岳信仰が残っています。巡礼者は、山頂への登拝や麓の神社への巡礼を通じて、神仏の力を得ることを望むという富士講は富士山への深い崇拝に結びつくもの。富士山の均整のとれた美しい姿は、無数の芸術作品にもインスピレーションを与え、自然と共生しながら独自の伝統へと結びついていました。関連する文化遺産には、富士山の崇拝を中心とした伝統文化が残されているという点。
登録基準(vi)
富士山の景観は湖や海の上にそび立つように火山が位置するというイメージで、これは古くから文学や芸術などのインスピレーションを与えてきました。特に19世紀の葛飾北斎や歌川広重の浮世絵に描かれた富士山の姿は、その後、西洋美術の発展に大きな影響を与え、現在も世界中で知られる名山であるということ。
世界遺産マニアの結論と感想
忍野八海は、現在では観光地として有名ですが、もともとは富士講で訪れる人々の巡礼路でもあり、富士山が作り出した自然景観を崇拝していたという点で評価されています。
ちなみに、忍野八海の敷地内にある、おみやげ屋「忍野八海 池本」の近くには「中池(写真)」がありますが、これは人工池であり、いわば「アトラクション」。世界遺産に含まれていないので要注意!でも、かなり写真映えするので…こっちのほうが世界遺産っぽいのですが。
※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。