スペインの世界遺産「タラヨ期メノルカ-キュクロプス式建造物の島のオデッセイ」とは?世界遺産マニアが解説

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登録区分文化遺産
登録基準 (3), (4)
登録年2023年

スペイン本土から東に浮かぶバレアレス諸島のメノルカ島は、タラヨ(タライオット)という石積みの塔があることで有名。これらを含めて、島には紀元前2000年以上前から島で繁栄した「タライオティック文化」の遺跡が点在し、独特の建築技術を持っていたことが分かっています。

ここではタラヨ期メノルカ-キュクロプス式建造物の島のオデッセイが、なぜ世界遺産なのか?世界遺産マニアが分かりやすく解説。これを読めば、タラヨ期メノルカについて詳しくなること間違いなし!

目次

タラヨ期メノルカ-キュクロプス式建造物とは?

タラヨ期メノルカ-キュクロプス式建造物
画像素材:shutterstock

地中海西部のバレアレス諸島の北東部に位置するメノルカ島は、バレアレス諸島州に属する小さな島。総面積としては約700平方kmではありますが、ここには1574もの考古学遺跡が点在する歴史の深い居住地でもあります。それらはこの島の先史時代の総称である「タライオティック文化」と呼ばれ、25の遺跡が登録。

島は平地が続き、肥沃な土地であるため、紀元前6000年ころの新石器時代の遺物も発見されていますが、これらの文明の共同体の存在が確認できるのは紀元前2500〜2100年の銅器時代から初期青銅器時代まで。キュクロプス式建造物とは、ギリシャの伝説的な巨人の「キュクロプス」から由来していて、これは原始的な巨石の石積みを意味するもの。特にギリシャのミケーネ文明(紀元前1600年〜1200年)の遺跡でよく見られます。

タラヨ期メノルカ-キュクロプス式建造物
画像素材:shutterstock

隣のマヨルカ島を含めて、タラヨ(タライオット)と呼ばれる、円形の塔のような石像の建造物が少なくとも200以上残っていて「タライオティック文化」というのもここから由来しています。遺跡からは副葬品もほとんど発見されてはいませんが、ナベタと呼ばれる石製の墓や住宅、集会所、聖域の跡地も存在していて、高度な文化を持っていたと考えられるもの。

タラヨはフランスのコルシカ島の塔やイタリアのサルディーニャ島のヌラーゲなどとと関連が見られますが、やがて地中海世界の覇者であったカルタゴやローマに支配されるようになり、消滅していきました。

タラヨ期メノルカ-キュクロプス式建造物はどんな理由で世界遺産に登録されているの?

タラヨ期メノルカ-キュクロプス式建造物
画像素材:shutterstock

タラヨ期メノルカが評価されたのが、以下の点。

登録基準(iii)
メノルカ島に残るタラヨなどの石積みの建造物は保存状態がよく、周囲の島とはまた異なるという独特のもの。これは先史時代の共同体の技術を示し、島の景観を作り出すものの一つであるという点。

登録基準(i)
タラヨ期のメノルカの建造物は、青銅器時代から鉄器時代にいたるものですが、その後、ローマ帝国やイスラム勢力に支配された時代でも、引き続き利用され続け、当時の社会や共同体の様子が今でもわかるようになっているということ。

世界遺産マニアの結論と感想

メノルカ島は、先史時代から階層社会の存在を示すタライオティック文化の遺跡が点在し、それらは後世でも利用され続けたため、保存状態がよく、当時の社会や共同体の様子が現在でも分かるものであるという点で評価されています。

ちなみに、メルノカ島はマヨネーズの発祥の地の一つであるということでも有名で、18世紀にフランスの公爵が島の南東部の港町マオー(マオン)で肉料料理に添えられたソースが気に入ってパリへと持ち帰ると、そのソースがたちまちフランスで大人気に。つまり、マオンのソースだから「マオンネーズ」と呼ばれ、マヨネーズになったという説なんですね。

※こちらの内容は、世界遺産マニアの調査によって導き出した考察です。データに関しては媒体によって解釈が異なるので、その点はご了承下さい。

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この記事を書いた人

世界遺産一筋20年以上!遺跡を求めて世界を縦横無尽で駆け抜ける、生粋の世界遺産マニアです。そんな「世界遺産マニア」が運営するこちらのサイトは1100以上もある遺産の徹底紹介からおもしろネタまで語り尽くすサイト。世界遺産検定一級取得済。

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